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コロナ支援サービスの良し悪しをどこで見るか

コロナ騒動で、多くの飲食店が自粛をするために、多くの農業者漁業者畜産業者が、行先のなくなった生産品を抱えて困っている。そのため、Facebookグループなどで、支援の団体が立ち上がり、販売を促進するようになっている。また飲食店に向けては、クラウドファンディングや、いわゆるサブスクや、将来使える「サービス券」を購入することで、現金を支援するサービスなどが起こっている。いや、乱立していると言っていい。

しかし、いくつかのサービスには問題があると考えている。


① 先行して食事する権利を買う「さきめし」

将来使える食事券、サービス券を買って支援するというサービスがある。既にこんな記事が書かれているが、支援しようという人がリスクが多い。
すなわち、
1.サービスが履行できるのか(飲食店の倒産リスク)
2.コロナの影響が長引いたなどの場合、返金したいときのフローが分からない(このサービスではなく、当該の飲食店任せになっているなど)
3.そもそも、その飲食店がどういう飲食店なのか、支援を本当に必要としているのか、どのくらいこの騒ぎで売り上げが減っているのかが分からない

他のサービスにもこのリスクのいくつかが当てはまる。コロナ自粛の影響を受けているのは多岐にわたる。おそらくどこの会社も影響が受けているが、30%売り上げが下がったのか、90%以上売り上げが下がっていたのかを本当に知るすべはない。さきめしなどの「先行チケット型」は、結局飲食店にとっては売り上げの先食いであり、数か月後のキャッシュが不足する危険もはらんでいる。
また、この仕組みを作るにあたっての「手数料」も取りざたされているが、これはサービスを運営するのに必要なので仕方がないと思う。ただ、その手数料を取るのであれば、それだけの「価値」を、その支援行為にさらに加えることができれば。なので、先に述べる「仲介者としての責任」は果たさねばならない。


②性善説が通用しない世の中

最初に述べたいくつかのサービスのうち、困っている人の商品(主に農産物や食品加工品)を紹介するグループでは、玉石混合が始まっている。たとえば、従来売っていた値段より定価を上げたうえで、「困っているので定価の2割引きで提供します!」という業者や、自分が生産していないのに転売で売ろうとしている人間が現れている。グループでは、そういったことが無いよう監視するともいうが、どこまでやれているのかが不透明である。HPの有る無し、販売実績などというが、それを素人がやるというのは、無理がある。
私はかつて百貨店の食品部に勤めており、いろいろな業者の売り込みなどを扱ってきた。PLから商品の工場の衛生管理や、与信に至るまでチェックする。モノを売るとはそこまでしっかりした準備と確認が必用なのである。それを、「支援」という名のもとに、悪意ある人がやすやすと入る余地がある仕組みを作るのは、その主催者がいくら善意だからと言っても許されるものではない。「仲介者としての責任」を果たすべきだ。善意であればこそ、生産者や購入者にとってよりいい関係が作れる仕組みにすべきだ。FBグループを使わなくても、生産者が元からやっている楽天ショップや自前ECサイトに誘導することを条件とすればよいのに。


③なぜか、お得価格での買い物をさせる罠

先に述べたグループなどでは、商品を「訳あり価格」で提示するのを条件としているところがある。もちろん、イベントに向けて商品をそろえていて、中止になってしまったので一斉に消費期限が切れるような品物を値引きするというのは一見当たり前のように見える。
ただ、商売をやってきた私に言わせると、それは「支援」というのは少しおかしいと思う。今回のコロナ騒ぎでは、多くの人が損害を被っている。また、食のイベントで用意した食材というのであれば、それを格安で販売したところで、むしろ赤字になる可能性が高い。イベントなら、出展料、特別に手配した人の費用などもかかわってくる。食材を格安で販売したところで生産者も飲食店も利益は残らない。むしろ、個人向けに梱包したりなどの手間や出荷作業が負担となる。
そして、この利益は飲食店や生産者にとってとてもとても大切なことである。ご存知の方も多いと思うが、飲食店も生産者も、利益率というのは通常でも決して高くない。また、イベントというのはPRを兼ねてのものなので、それ自体は赤字だったりする。だから、本当に生産者や飲食店を「支援」するのであれば、こういう余剰になってしまった食材を買うのであれば、相応の「利益」を乗せてあげるくらいが必用なのだ。
生産者や加工業、飲食店も痛いほどそれは分かっている。なので、せめて食材を無駄にしたくないという思いでこういうサイトで販売している。でも、これは長くは続かない。もっと言うと、こういうサービスで「格安で」商品を買った人は、その価格に慣れてしまい、定価で再び買うということは少ない。これは長年流通にかかわってきた経験からそう言える(俺のイタリアン、で知られる坂本孝氏もその著書で、値引き販売は元の値段に戻したときにお客が離れる危険性を述べている)。生産品を無駄にはしなかったかもしれないが、この売り上げでこの騒ぎを「凌げる」かといえば、そうまではいかない。家賃も人件費もWEBサイトに毎月払っているPR費も商店街などの会費もあるのだ。そのためには利益が必用なのに。


④では、どういう仕組みがいいのだろうか

結論を言うと、一番いいと思うのは「その生産者、飲食店に正当な対価を払う」ことになっているかどうかが大切である。利益の先食いであったり、手元にほとんど残らない形は、「支援という名の迷惑」にも成りうると考える。もちろんいくつかは正当な利益を払おうというものもあるが、今回のコロナ騒ぎでは、生産者や飲食店だけでなく、その間の輸送業や加工業、卸会社などの方も仕事がなくなって苦労している。決して生産者や飲食店だけではない。だから、支援というのであればできる限り多くの人を支援しなければならない。かといってケータリングでは売り上げは微々たるものだ。できる限り、既存の売り上げがとれるくらい、飲食店が製造したものや飲食店が絡んだ商品を購入することが望ましい。購入・仲介サービスが何らかの補償や責任もあればよりよいが。

支援というのは大切だ。ただ、その思いだけでは助けられるものも助けられない。私は今後その仕組みを作ることを、適切な手数料とともにビジネスとして、生産者も流通者も飲食店も、より多くの利益を得られるような取り組みをしようと思っている。

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