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【フードロスの根本的問題】


流通とフードロス

その昔魚屋だった頃、節分の恵方巻きで一本2000円の、生本マグロ大トロ、うに、いくら、平目、車海老入りの豪華海鮮巻き作って50本近く売ったことがある。
バイヤーや上司からは380円くらいの巻き寿司の発注を数多くするよう言われてたが、売り場が魚屋だけならともかく、ほかの惣菜屋やテナントの天ぷら屋などもが巻き寿司を売り出すので、その価格帯で喰い合うのは目に見えていたから。
他と差別化できない価格帯で品揃え及び物量やるのは下策と感じたので、海鮮巻きの特徴を訴えて勝負して、巻き寿司だけで100万円の予算を16時30分くらいで達成した。

徹夜で鉄火巻きや中トロ鉄火巻き、あなご巻き巻いてた夢を今でも見ます。

ちなみにバイヤーから無理くり送り込まれた300本の380円くらいの太巻きは予想通りあまり売れず、16時30分から半額で売り込んだ。結果、周りの総菜屋のお客様をかなり奪ってしまった気がする。

恵方巻についてはコンビニ始め多くの会社が予約制に移行している。鰻重やクリスマスケーキ、おせち商材なども。フードロス低減のためには良いことだし、今後もその流れになって欲しいが。

根本は、こういう『モチベーション時』の予算を流通業が異常に高く設定していたことがある。この日に売り上げとる!というのはいいが、曜日周りや天候などリスクも高い。でも予算も高い。そりゃ売り場もバイヤーも無理する。取引先に無理させる、産地に無理させる。

結果、どこの利益にもなりはしない。

フードロスの根本の問題は流通業の仕組みに根深くある、というのが持論です。モチベーション時においては改善されてきてますが、日頃の取引においても是非見直していって欲しいものです。


これから現れるフードロスの問題

そして、このコロナ騒ぎでおそらく別のフードロス問題も出てくる。
それは、農産地における規格外品問題。加工用、レストラン用などがこういうもので成り立っていたが、流通が崩れてくると、このあたりが確実に産地でだぶついてくる。これとて農家にとっても頭の痛い問題。産地で潰して処理するのは心苦しいが、出荷先もない。

加工品も、すべてがスーパーや中食産業に行くわけでもない。高級和菓子の材料として大きなサイズのさつまいもが使われたりしている。観光地の直営店などがこの状態で、出荷が停止している。こういったケースはどんどん出てくると思われる。海外では、カンボジアなどで輸出向けの高級フルーツが出荷停止となり腐っていく一方という。

流通の問題でフードロスが出る一方、流通がいったん混乱すると、新たなフードロスが出る。どう解決していくか、産地と消費者をつなぐだけでなく、加工業者飲食店卸業者なども一体となって考えていく必要がある。彼らにとっても死活問題なのである。

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