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日本においてワ―ケーションがうまくいかない理由

だってリモートワークすら定着しなかったでしょうが、という出オチ。

そもそもリモートワークが可能な職種と可能でない職種の話もあるが、日本においてはまだまだ「製造業」が中心である。その業務だけでなくマネジメントも含め、リモートワークで対応できる部分は少ない。

もう一つは、成果給への対応である。

ワ―ケーションということは、「勤務時間があいまいになる」ことを前提としている。それではその人の給料はどうやって決めるのか。細かな制度設計をできるほど日本の企業はそこまで人事制度をうまく作れていない。

もう一つ、決定的なのは「働く人がワ―ケーションを求めていない」のだ。リモートワークができる人は、ごくごくわずか。しかも、企画、広報、マーケティング、WEBデザインやコーディングなどのいくつかの業種に限られるが、これだって「休みも仕事したくはない」。
働きながら仕事ができるように思えるような業種であるが、そもそも遊ぶときは遊ぶ、やるときはやる、というメリハリがある方がいい(私のようにだらだらと土日も仕事しているのは単に要領が悪いだけである)。遊んでいる間に「アイデアが浮かぶ」ことはあっても、それは別の話。
午前中は仕事して午後は温泉でのんびり、というのは理想的であるが、往々にしてクライアントからのメールは16時半ごろに「本日中にお返事ください」という文言とともに入る。伊藤忠商事の主張であるお客様に寄り添う、というのがある限りどんな仕事であっても場所と時間に制約されるのである。

では、ワ―ケーションをそれでもやるとしたらどのようなことがいいのか。それは、その場所が持つ「仕事に役立つ魅力」を出すことだ。温泉があるとか美味しいご飯があるというくらいなら大江戸温泉でもいいのだ。では、仕事に役立つ魅力とは何か。それは、アイデアが浮かぶ場所であったり、精神修養になる仕組み仕掛けがある場所である。前者は定義が難しいが、後者は和歌山県高野山や滋賀県比叡山、京都や奈良の寺社仏閣などがある。要するに宿坊に留まって朝に座禅組んでお坊さんにカウンセリングしてもらって一日の仕事を始めるとかそういうことだ。ヒーリングやストレスコントロールだけでなくアンガーマネジメントにも通じる。

日本が今進めているワ―ケーションは、様々な問題点を考慮せずただただ「東京から離れて仕事する」というだけである。しかし、WITHコロナの意識が浸透していくとともに東京に向かう電車の乗車率は高まっている。大きな意識変革がない限りワ―ケーションは絵に描いた餅でしかないだろう。

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