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陰謀論にまだ陥る人へ~種苗法のやり取りで分かってきた心理~

先日、Twitterでの柴咲コウさん「種子法廃止」について、記事を書いた。その後いろいろ柴咲さんに対する反論などもあったので、私としても安心をしていたのだが、私が書いた記事を超える「陰謀論の心理」が見えてきたので、そのあたりを冷静に分析したいと考えた。

議論としては、
・種苗法は日本の農業が崩壊することに関係ない。むしろ流通の問題、という筆者に主張に対してとある方(以下、A氏とする)から「実家は農家だが、種苗法のことや山田元大臣など知らない。田舎の農家はそういう人が多い」「議論がなされていない。もっと国会で時間をかけるべき」という意見が来た。

知らないというのは自分から何かしようという意思がないとしか言いようがない(事実、多くの地域で講習会もやっていたし、何年も前から大手新聞やもちろん農業新聞も取り上げていた)と反論したが、A氏は「情弱は淘汰されろということか」という意見が来た。また筆者から、「国会で時間をかけるべきというが、他の法案含めて国民はそれなりに興味を持つべきだが、興味がないのはあなた自身ではないか、また先に述べたように数年前から新聞ではこの法案のことが話題になっていた」と反論したが、「農業は消費者もかかわる問題だから消費者の意見も仰ぐべき」「法案については、FTAのように白紙委任のものがある」という意見が来た。

・私は情弱というより、自分で何かしようと頑張らない人に対しては何もできない。頑張る人と未来を作るべきと反論。また「消費者もかかわるというのは拡大解釈すぎ、またFTAとかいうが、そもそも消費者は国産の野菜を選ぶ権利がある(むりくりモンサント農産物食わされるわけではない。いやなら食べなければ良い)」と反論した。

・A氏の最終的主張は「国産農産物買いたくても高くて買えない」ということだった。私はそれは農業の問題ではなくその人自身の問題である、ということでこの議論を終わらせた。ちなみに国産農産物が高いのは種のせいでなくて人件費であるが、(今後)外国の種苗を高い値段で買わされて日本の農業が崩壊するという主張と、国産農産物は(現時点でも)高くて買えない、という主張は、現時点で農家を守ろうという意識が生じていないものと推察する。

見えてきたのは、
①自分が思うとおりに世の中がならないことのいら立ち
②自分ができていないことの、責任転嫁
③世の中は不条理にあふれていて、そこから抜け出る手段がないという悲観

が見て取れた。


① 自分が思うとおりに世の中がならないことのいら立ち

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世の中にはつらいことがあるが、どこでどうはけ口を作れるかが大切である。はけ口を作れない&そこで、建設的な意見の出し合いができないから、前回の記事のように「都合の良いチョイス」ばかりになってしまうと見える。世の中不条理になっているのは事実だが、それを乗り越える努力をしなければならない。みんなそれぞれの立場でそれを頑張っている。

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心折れるときもあるだろう。筆者も、仕事がうまくいかず本当に貧しい時期もあった。30歳超えて年収が○○万円なんて、恥ずかしいし悔しいし。多くの人のせいにもしたくなった。でも、現実は黙っていてもよくはならないのである。


②自分ができていないことの、責任転嫁

では、その状況をどうするかと言ったら、自分で這いあがるしか道はないのである。本当に厳しい人(障害、社会的な様々な)には支援の手はあるが、そうでない人には支援の手はそこまでない。「普通の(収入の)人」と、「支援を受けられる人」との間にある、かなり黒に近いグレーゾーンの人たちが多いことは筆者も認識している。(リンク先の記事は少し古い2016年のものだが)
先のA氏の最終的な「種苗法によって日本の農業は崩壊する」には、いくつかの誤解と自分(と、その周辺の方)が「できない」ことの混同が見受けられた。すなわち、日本の農業を買い支えれば問題ないということに対して「収入が低い人は国産野菜を買えない」ということである。それに対して私は通信費の見直しなどで手段はあると説いたが、それでもA氏は無理だと否定する。では手段は一つだ。収入を上げることだ。

しかし、それが無理だと言われたら元も子もない。以前私が交際していた人が少年院から出所した人の就職支援をしていたが、それは多くの困難を伴う。問題の多くはその人の「心」が折れていて、普通の生活習慣(朝は起きる、3食食べるなど)が送れていないことをどうやって矯正させるか、また人生の目標をどう持たせるかが難しい、ということであった。

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人間だれしもそうだが、自分なんかダメだと思ったらそれでおしまいである。スラムダンクの安西先生の名言もそうで、どうやって頑張るかが大切で、それを支援する人、時には叱ってくれる人が周りにいることが大切だ。

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③世の中は不条理にあふれていて、そこから抜け出る手段がないという悲観

しかし、多くの人はそうやって自分を奮い立たせることができない。筆者もそういう時期が多かった。ただ、そのままでは何もならない。多くの友人知人の活動を見たり、スポーツで感動したり、心が前向きになるようにした。また、『キラキラしているように見えるだけ』人たちとの付き合いを切ったり、各種つながりを精査し、「本当に自分にとってプラスになる(ただし自分も相当の努力が必要)」以外の人との時間を減らしていった。陰謀論に陥る人は、SNSなどの広い世界にいながら「自分の殻」に閉じこもり、かつその同じ殻に閉じこもる人たちだけと会話している。それは全く自分のプラスにならない。貧困であればあるほど、そこから抜け出す手段は限られてくることが現実ではあると思う。でも、それを支援しようという人・手段は実際はあるのだ。もちろんたまたま行政の窓口がやる気のない人でとかはあるが、それですべてが失われたと嘆く必要はない。

かつて、東京のFM局「J-WAVE」で、「アクロス・ザ・ビュー」という深夜放送があった。25年以上前、『FMや洋楽聴く俺かっこいい病』という厨2病に侵されていた筆者(ちなみにまだ罹患している)はよくこの番組を聴いていた。時のMCは、今はTVで引っ張りだこの「モーリー・ロバートソン」であった。彼の話したとある言葉が今でも心に刻まれている。

『心をタマゴに例えると、黄身の部分が自分で、そこから殻を破って出ていこうとする。しかし、殻の外の世界に触れて、引き返して、自分の卵の中に「空間」を作り、その世界が外の世界だと自分に信じ込ませて、結局中に閉じこもってしまう』という話をしていた。陰謀論に陥る人にはこの傾向が見て取れるように思う。殻の外の世界は不条理だ。でも、かといって誰かが突然やってきて助けてくれるわけではない。だけど、自分でどうしようもないというあきらめから、自分の信じたい事実や報道だけをチョイスして「それが正しい世界である」として、その会話が通じる人とだけで「殻の中に閉じこもる」。それを指摘する声は、陰謀の加担者だと考えるのだろう。

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今日はいろいろドラえもん使っているが、言いたいことは

①自分が思うとおりに世の中がならないことのいら立ち
⇒みんなそうだ。ただいら立ってもしかたないから、建設的な意見を言い合える人を作るしかない(客観的事実を見ることができるようになろう)。
②自分ができていないことの、責任転嫁
誰かが救ってくれるということはない。ウルトラマンは来ない。政治はウルトラマンでない。ドラえもんのように秘密道具は出してくれない。自分で頑張るしかない。
③世の中は不条理にあふれていて、そこから抜け出る手段がないという悲観
手段はある。努力しても全く報われない世の中、日本の政治かというと、そこまでひどくはない。というより、諦めたらそこで(ry

世の中、貧しいときは心も貧しくなる。筆者もそうだった。でも、救えるのは自分自身であるし、そうやって立ち直っている人は多いのである

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