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兵庫県加西市五百羅漢を訪ねて

本日はいつもと関係ない話を、、、といってもすこしまちづくりの話も。

本日は、兵庫県の依頼で務めている『兵庫県人間サイズのまちづくり賞』審査員として、3か所の兵庫県内の場所を視察してきました。この賞はすでに20年以上になるのですが、兵庫県内の様々な「まちづくり活動」「人の生活に配慮した優れた建築デザイン」「街を彩る花や緑を守る活動」を表彰するもので、私は6年前から審査員を務めてます。

今日訪れたのは神戸市内のとある建築物(タワーマンションだが、これも実はすごい技が隠れていた)、神戸市兵庫区長田のまちづくり活動(拠点がとある駄菓子屋さんだったのでポン菓子買った)、そして最後に訪れたのは写真でも示した、このタイトルの兵庫県加西市五百羅漢である。

以前北条あたりに訪れた時にこの石仏のことは聞いたことがあり、いつか訪れたいと思っていたところだ。

今回は仕事ということもあり、加西市の職員さんと、この石仏を維持管理する団体「五百羅漢保存会」のメンバーで集まり、活動のヒアリング。

少しでも多くの方に興味を持って訪れていただこうというイベントの取り組みなどを伺い、またその活動をどうしていけるかという悩み相談などに答えたりする。

まちづくり活動は、このように何か地域のシンボルを守るために多くの人が自発的に集まり取り組むところから広がる場合が多い。この五百羅漢がある北条というまちもかつては多くの人が住み、多くの企業がこの保存活動に取り組んだらしいが、いつの間にか下火になり、それを見かねた有志で保存会が立ち上がり(昭和36年だという、、、)活動を続けている。

しかし、残念ながらこういう活動は若手がなかなか集まらない。18名ほどのメンバーの平均年齢は74歳を超える。しかし、それぞれが今までのキャリアを活かして、車いす用のスロープを作ったり手すりを設置したり。あと10年後はどうなるかわからないのですよ、、、というメンバーの声を聴きながら、それでも維持管理してきた今までの活動は素晴らしいものですよー、と褒めながら、このお寺を後にした。

まちづくり活動で若い人が興味を持って取り組む事例の多くは、『誰も注目しなくなった資源や歴史』というものだ。しかし、この北条の五百羅漢など、すでに保存や維持のため、多くの人に知ってもらおうという活動がある中に、なんらかの理由で若い人が合流して発展していくという事例はあまり多くない。それは、すでにある活動が排他的か、若い人がいないわけではないがそこに入っていこうとしないか、あるいは本当に若い人がいないかのどれかだ。この北条に関しては、残念ながら神戸市までそこそこのアクセスがあったり、工場などの勤務地があるため、地域で事業をしているのでこういった活動に参加するという若い人があまりに少ない(この団体が地域の商工会などとどういう関係があるかということを聞いたが、それどころでないくらい商工会も商店会も衰退してお話にならないということだった)。

ただ、この団体さんの方々は多くの人が「いつか誰かが継いでくれる」という確信を持っている様子なのがとても印象的であった。

仏さんの顔は様々で本当に表情豊かだ。おそらく、名のある名工が作ったのではなく、誰かを悼んだ家族の方が地元でよくとれる石(凝灰岩なので加工しやすい)で、死者を偲んで掘ったのだろう。なので、一つ一つがとても粗い。その分本当に面白い。

それぞれの思いがこの石仏に込められている分、誰かにそれが伝わるという思いがあるのだろうか。私も、初めて来たのになぜか懐かしい思いがあり、またいつか来てみたいという思いに駆り立てられている。

街の魅力ある歴史を誰かがいつの日かまた発掘して掘り返して、そしてまた多くの人に知らせてくれることはあるだろう。もちろん、そうならないものもあるかもしれない。かといってすべての歴史史跡を残すことも不可能だ。

何を残すべきで、何をあきらめるべきなのか。それを今いる人たちだけで判断するというのではなく、今生きている関わりたい人が適度に楽しみながらかかわって、いつか次ぐ人が生まれればいいし、生まれなくても、将来いつの日か、、、そんな態度もありなのだ、と考えさせられた日であった。



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