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ポスト真実~『ウソ』が事実を超える時代~

ポスト真実

言葉の意味は、「世論を形成する上で,客観的事実よりも感情や個人的信念に訴えることの方が影響力が大きくなっている環境のこと」と説明されます。

ポスト真実、ポスト・トゥルース(post-truth)、この言葉は2016年にイギリスEU離脱の是非を問う国民選挙の中で生まれ、イギリス社会で 「post- truth」 という言葉が人々 の間で使用されるようになりました[1]。
この選挙では、『真実とは言えない情報』が離脱派の主張にあったにもかかわらず、その主張が有権者に訴える力を持ち、EUの離脱が決定しました。

また、その後の2016年アメリカ大統領選挙でも「ポスト真実」の概念が頻用されており、オックスフォード辞典の「2016年の言葉」にも選定されました。

その後も、陰謀論、フェイクニュース、排外主義思想、政治的な問題など多岐にわたる影響を及ぼし続けています。

事実よりも人の気持ちを制御した方が勝ち

人の気持ちを制御するために、事実を誇張して表現するかもしれません。
極端にポジティブorネガティブに表現しているかもしれません。
中には、『ウソをつく』人もいるはずです。
目的は勝利のためなので、主張の中身に意味がないことも稀ではありません。

「ポスト真実」は、革命的な要素を含むものの、誰かを陥れる要素も確実にはらんでいるのです。

このような主張は、SNSやインターネット上のメディアから拡散され支持をあつめていきます。そして、その拡散の仕組みには、情報社会のなかで人々に育まれた「情報提供・取得」の構造が関与しています。

私が伝えたいこと

私が記事を通して伝えたいことは、「ポスト真実」が悪い概念であるということではありません
(人の心が現象をつくっていく過程はとても面白く、今後も注目され革命が起こされるべきだとおもうのです。)

一番に主張したいことは、『ウソ』を見抜く手段や知恵を持つ必要性です。
情報の正当性を判断できれば、自然と『ウソ』の拡散を防ぐことができます。個人の「情報リテラシーの見直し」が必要ではないでしょうか。

まずは、批判的な思考で考えることです。
「この情報は嘘かもしれない。」
「どこから主張が始まったのか。(引用元を確認する)」
どんな人(団体や思想など)が主張しているか。」
ちょっとだけ意識すると見え方が変わるはずです。

次に、自分は知りたい情報の一部分しか見ていないことを意識することです。
インターネットの情報には、『仕掛け』があります。
エコーチェンバー』と『フィルターバブル』です。
同じ主張が反響(エコー)して、あたかもその主張が正当に思えてしまう(エコーチェンバー)。
知りたい情報の泡(バブル)に覆われてしまい、別の主張が見えない状態に陥る(フィルターバブル)。
この2つを意識してインターネットを使用してみましょう。

皆さんには、「ポスト真実」の時代を生き延びる知恵がありますか? 

今この時にも、誰かの小さな「ウソ」が、ある事実を超えようと力をつけている最中かもしれません。


ー参考文献ー
[1]〈ポスト真実〉の時代としての現代 ──それの克服のために── 八巻 和彦 文化論集第 51・52 合併号 2 0 1 8 年 3 月

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