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ALPS処理水について 【福島第一原子力発電所】

この記事では、福島第一原子力発電所事故の『廃炉』にまつわる話題を紹介します。

今回は、ALPS処理水についての情報をまとめました。
話題になっているけれど、難しくてよくわからないという方に向けて、自分の意見を考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。

◆福島第一原子力発電所の事故と燃料デブリ
2011年3月、地震の津波による電源損失により、原子炉を冷やす機能が停止し、発電に用いる核燃料を冷やすことができなくなりました。
核燃料の冷却が出来なかったことで、燃料が溶けた『燃料デブリ』ができました。
燃料デブリは、熱を発生させるため、『水で冷却』する必要があります。

◆汚染水の発生
『汚染水』は、燃料デブリに接触した水のことです。この水には、『放射性物質』と呼ばれる放射線を出す能力のある元素が含まれています。
燃料デブリを冷却するために、事故当初は『海水の注入』が行われました。
現在は、冷却で用いる水を浄化しながら循環して冷却できるように設備が整えられています。

◆ALPS(アルプス)処理水
『ALPS処理水』は、放射性物質が含まれた汚染水を浄化処理した水のことです。
汚染水を浄化処理する設備のことを「ALPS(多核種除去設備)」と呼ぶことからALPS処理水と呼ばれます。この設備では、ほとんどの放射性物質を除去することが出来ますが、『トリチウム水』と呼ばれる水の仲間は、現在確立されている技術では除去することが困難です。
そのため、トリチウムについては、1500Bq/L以下(1リットル中に1500ベクレル以下の濃度)という濃度の基準を設けています。海水で処理水を希釈し、トリチウムの濃度が基準値以下であることを確かめてから海に放出する計画です。
※ベクレル(Bq)は、1秒間に原子核が変化する回数のこと。

報道などでよく目にする、大きなタンクには、ALPS処理水が貯められています。処理水のタンクを管理し続けることにも、『リスク(危険)』が伴います。そのため、少しづつ処理水を減らしていくという考え方があります。それが、海洋放出という手段です。
現在、廃炉では『リスクの発生源を減らす』作業が行われています。どんな作業にも『リスク』はつきものですが、一つずつ危険な要素を減らしていくことが安全な作業環境づくりに繋がります。また、今後、廃炉を次のステップに進めるためには、作業場所の確保も必要です。


《安全と安心にまつわる議論》

  • 海洋放出されるトリチウムの濃度は、これまで原子力発電所などで放出されてきた排水よりも濃度が低いこと。

  • ヒラメの育成試験の結果では、トリチウムは生体内に濃縮されず、排出もされることが示されている。

  • ALPS処理水を海洋放出することで、新たな食品等の買い控えなど「風評被害」の懸念がある。

  • 放射能の人体影響について、本当に安全なの?という気持ち、分析結果などに誤魔化しはないのか?という信頼関係の課題など


今回は、あえて『廃炉では何が起きているのか?』という、技術の情報を中心にまとめました。
現場の状況を冷静に知った上で、『自分はALPS処理水を受け入れられるか?』、『改めて何が問題か?』を考えてみていただけると嬉しいです。

その先の議論は、多種多様であって良いと考えています。

皆さんの自由な考えや意見、疑問などを教えてほしいです!


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