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となりに誰かがいてくれたから、飛びこめた世界(#高校生インタビュー)

はじめに
このインターンシップレポートは、NPOカタリバ Rootsプロジェクト(外国ルーツの高校生支援)が展開するRootsインターンに参加した高校生の体験をまとめたものです。

日本社会での進路を自分ごとに
「外国の人」ときくと、海外から来る外国人(旅行者や留学生等)を想像する方が多いかもしれませんが、今、日本の子どもたちとともに育つ外国ルーツの子どもたち(両親、またはそのどちらか一方が外国出身)が増えています。親の事情で来日した子がほとんどですが、環境の変化に前向きに、そしてしなやかに向き合っています。

多様な教育背景をもつ子どもたちの日本でのキャリア形成は、まだまだ事例が多くはありません。彼・彼女たちの目線で日本はどう見えているのか、そして今まさに越境を体験している高校生から、これからの未来について、この記事を読んでくださっているみなさまとも学んでいけたら幸いです。
今回の記事では、合同会社NowNever. さんで実施のRootsインターンに参加した、中国にルーツを持つYさんのストーリーを紹介します。

インターン概要
群馬県を拠点に日本全国でプロモーション映像・ライブ配信・映像作品の撮影制作等を行っている合同会社NowNever. の社員さんに伴走いただきながら、ショートフィルムの制作にチャレンジ。監督、カメラマン、音楽担当等、それぞれの強みを活かしながら1つの作品に仕上げていく過程を体験しました。


Rootsインターンに参加しようと思った理由

ー今回、参加しようと思ったきっかけをおしえてください。

私は中学1年生の時(2019年夏)に来日しました。日本に来る前は、日本の学校についてドラマで得た知識しかなく不安だったけれど、実際にはみんな優しく、日本語でコミュニケーションが取れなくても助けてくれるクラスメイトがいました。

高校1年生のクラスでは唯一の中国人で、最初は言葉の壁や自信のなさから、意思疎通は難しかったです。ですが、勉強を重ねることで話せるようになりました。また、中学では苦手だった男子とのコミュニケーションも、高校で優しい男子クラスメイトに出会ったことで、できるようになりました。高校3年生になった今は、理系の学校に進学するために、数学の勉強を頑張っています。

Rootsインターンに参加しようと思ったきかっけは、学校で先生に勧められたからです。話を聞いた時は興味を持ったけれど、他の活動が忙しく参加する余裕がないと思いました。ですが、友人が一緒に参加することになって、自分も行ってみようという気持ちになりました。

ーインターンにはどんなことを期待していましたか?

友達をつくれるかな、と思いました。それと、今まで(日本の会社に)行ったことがなかったから、会社がどんな雰囲気なのか気になっていました。(日本の会社は)上下関係が厳しく、敬語を使ったり、会社のルールが厳しい、あと社内で話せないイメージもありました。

大変なことの中に、みんなで解決していく楽しさがある

使用する機材の説明をうけているところ(遊んでいるわけではありません)。

ー率直に、インターンの感想を教えてください!

「楽しかった!!(元気に答えてくれました)」
動画の撮影と、音楽制作が楽しかったです。
撮影の時は、(演者担当として)たくさん走って、何度も取り直したから疲れました。でも、みんなと交流しあって一緒にやるのが楽しかったです。

逆に大変だったのは、撮影前の準備の時間です。ストーリーの方向性を決めることや役割分担に時間がかかりました。チームメンバー全員がいろんなアイデアを持っていたから、それをまとめることが難しかったです。話し合いを重ね、監督が調整してくれたことで、決めることができました。大変ではあったけれど、メンバーとの協力や話し合いによって、それらの問題を解決していくプロセスも楽しかったです

はじめて会ったメンバーではありましたが、お互いに意見を交わすことができました。

誰かといっしょにはじめの体験ができたから、自分でも音楽をつくることができた

ーどうして音楽づくりをMy Action*に選びましたか?

元々音楽が好きで、制作に興味があったけれど、アイデアが浮かばないから(浮かんでも再現できないから)つくれないと思っていました。

インターン先で体験したことで、(自分でも)もう一度やってみようと思いました。先生(インターンに関わった大人)から音楽制作用のAIツールのアイデアをもらったことで、やってみたいという気持ちになりました。

*My Actionとは、Rootsインターンの集大成として、企業での体験をもとに自分のキャリア実現のための一歩を踏み出してみよう!という趣旨のもと、生徒主体で行うアクションのことです。Yさんはインターン後、これまで「自信が持てずできない」と口にしていたとは思えないほど、次々と新しい音楽を制作していきました。

NowNever.の社員さんが、1対1で丁寧に、操作方法やコツ、楽しさを教えてくれました。

アイデアを出すのは大変!でも続けられることもある

ーMy Actionをふりかえっての学びは何ですか?

やっぱりアイデアを出すのは大変!だから、とにかく浮かんだ時に集中的に作ることで完成させました。

仕事としてやるには音楽の才能が足りないかもしれないけれど、動画編集はできると思って、TicTokへの投稿を続けています。
インターンで体験した動画制作との違いは、仕事ではないからストーリーや撮影のクオリティなど細かいところを気にしなくていい、自分の楽しみのために作れるからいい、ことです。
今は、一か月を振り返るようなテーマで短い動画をつくっていて、写真の加工や音楽の選曲にこだわっています。

私のこれから

ーさいごに、全体をふりかえっての感想をお願いします!

(動画や音楽制作は)アイディアが思いつかない日もあるから、毎日やったらきつい、ある日嫌いになると思います。だから仕事としてはできないかもしれない。

でも、趣味がないといけないなとも感じました。生きる意味がなくなっちゃう。(趣味があれば)人生が楽しくなると思います。だから、趣味は趣味で仕事は仕事って分けて、趣味はずっと好きでいたいです。

インターンに参加して本当によかった。(ほかの人も)自分が興味あることに一回でも挑戦したらいいと思います。今は、受験に向けて勉強に集中しているけれど、これからもいろんなことに挑戦していきたいです。

ーYさん、たくさんお話をきかせてくれて、ありがとうございました!

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メンバーそれぞれの「好き」から始まった会社というNowNever.のみなさんだからこその伴走で、高校生の意欲に灯をともしていただきました。本当にありがとうございました!!!
(Yさん以外のインターンに参加した生徒も、動画やアニメのプロット等、それぞれの表現にチャレンジする姿がみられました。)

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Rootsインターンについて🌱
Rootsインターンは、外国にルーツを持つ高校生に
「日本社会とのつながりと、応援してくれる人との出会い」を届け、

企業の方には、直接高校生と関わりを持つことで「身近にあるDE&Iを体感してもらい、可能性に出会ってもらう」ことを目指しています。
*DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

これまでに複数社とプログラムを行い、私たちの想像を超えたつながりを生んでいます。

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問い合わせ先:
認定特定非営利活動法人カタリバ Rootsプロジェクト(外国ルーツの高校生支援)roots@katariba.net