見出し画像

SEKAI NO OWARI ARENA TOUR 2024 「深海」 直前考察

はじめに

2024年3月、ARENA TOUR 2024 「深海」が始まる。
全国13会場27公演に追加公演6公演で合計33公演。
ここにきてSEKAI NO OWARI史上最大規模のアリーナツアーが幕を開けた。

前回の直前考察(セトリ予想)では、的中率50%と微妙な数値を叩き出した。
しかし、言葉では表すことができない”感覚”を身に付けた筆者は、「深海」で考察・セトリ予想に再び挑む。

ドームツアー「Du Gara Di Du」の考察を経て、反省点を挙げるのであれば、
「自分の願望を入れすぎない」
である。

「テーマが深海なら『マーメイドラプソディー』はやるだろうな…」ならまだいい。
しかし、考察をしていると、「『マーメイドラプソディー』はやく聴きたいな…」になっているのである。
無意識のうちに予想が願望に変わり、まるで決定事項のように考察を進めてしまうことがある。
前回の考察でも根拠をツラツラと書き連ねていたが、実際は願望であり、根拠を述べる際に「好き。やってほしい。聴きたい。」が入り込む始末であった。
今回はその反省を生かし、あくまでも論理的に、
SEKAI NO OWARIの「深海」を予想していこうと思う。

感じたコツは、「何にどこまで意味を持たせるか」である。
なんでもかんでも「深海」を理由に予想していたら、思考も選択肢も幅が狭くなる。
ツアータイトルの「深海」、歌詞、グッズ、メインビジュアルなど、密接な関わりのある根拠はもちろん考慮しつつ、もう少しフラットな視点で、あくまでも2024年に開催するSEKAI NO OWARIのライブだということを意識しながら予想に臨む。

さて、ターコイズ大好きマンの筆者はこの反省を生かし、
「1曲目は『ターコイズ』で決まり! 
だって「深海」って言葉も入ってるし、「僕のステージが始まる」…って、
オープニングにぴったりじゃん! 」と
述べないでいられるのだろうか…
それでは、アリーナツアー「深海」の考察です。

「深海」とは

まず初めに、このツアーにおける重要なキーワード「深海」を紐解いていく。

私たちは、マリンスノーなのではないだろうか。

突然始まった哲学レベルの投げかけに驚いた読者も多いことだろう。
あっけに取られた読者を差し置いて、私は沈んでいく。

最初に目についたのは、スターライトリングである。

画像1 「スターライトリングなんかちょっと値上げした?」

あまりにも球だ。
SEKAI NO OWARIのライブにおいて必須アイテムであるスターライトリングは、これまでライブのコンセプトに紐づいたデザインだった。
したがって、この球も「深海」におおいに関係すると考えられるため、大きなヒントになることは間違いない。

これを、
「あぁ、今回は白い球が光る感じね。白玉かな?」
と見逃すほど甘くはない。

ボツ考察案として、太陽、クラゲ、タコなどが挙げられたが、どれもしっくりこない。
これは、マリンスノーなのである。

設定

舞台は「深海」

もはや当然かもしれないが、舞台は深海だろう。
では、私たちは何なのだろうか。

「INSOMNIA TRAIN」や「BLUE PLANET ORCHESTRA」では乗客。
「Du Gara Di Du」では来園者。
「The Fan」ではファン(変態)。

このように、コンセプトがハッキリしてるツアーでは、我々にもコンセプトに基づいた役割が与えられることがある。

舞台が深海である今回、我々は「マリンスノー」なのではないか。

マリンスノー

マリンスノー(英: Marine snow)とは、深海において水中の上層から下層へと継続的に沈降する有機デトリタスであり、肉眼で観察可能な海中懸濁物のことである。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マリンスノー

マリンスノーは、動物や、植物プランクトン、原生生物などの死骸、糞便、砂、その他のさまざまな有機物や無機物で構成されている。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マリンスノー

死骸や糞などの塊が深海で沈んでいく現象はマリンスノーなのである。
さて、皆様お気付きであろう。
「深海」にて最も重要な2曲が浮かび上がってきた。

「ターコイズ」と「深海魚」

マリンスノーが関連するのはこの2曲である。
(正確にはコロナ禍に突如として公開された楽曲「the days」にもマリンスノーという歌詞が含まれているが今回は割愛https://youtu.be/YdpsF25wmyU?si=wybEp3Oxz-GjJ0ml

よく聴くと、この2曲には深い関連性があることがわかる。

マリンスノーの本質

暗い深海のなかで、白い雪が降る。
神秘的なマリンスノーだが、実態は生物の死骸や糞である。
この美しさの本質、醜さとの対比は、SEKAI NO OWARIの楽曲では頻出の構図である。

深海の夢を見た マリンスノーが宙を舞っていて
綺麗なものは綺麗なだけじゃないと 君もきっとそうなんだろう

SEKAI NO OWARI「ターコイズ」

真っ白な命が降り注いで うっとりさせる偽物ロマンティック

SEKAI NO OWARI「深海魚」

どちらも深海を舞台にした歌詞が含まれており、マリンスノーの美しさとその本質を捉えた歌詞になっている。
この美しさと醜さの対比こそが、今回のツアーにおいて重要なコンセプトなのではないかと思う。

では、共通点はどうだろうか。
この2曲の伝えたいことは同じなのではないかと私は思う。

数え切れぬ敗北の前で 膝をつく日だってあるだろう
逃げる事も勇気の一つだと その言葉を胸に

SEKAI NO OWARI「ターコイズ」

「自分らしくあれ」と言うなら選択肢をよこせよ
逃げるにも勇気は要るんだ 急げ深い場所へ

SEKAI NO OWARI「深海魚」

SEKAI NO OWARIは一貫して、生きづらさをふまえたうえで、それから逃げることは悪いことではなく、進むための1つの選択肢であることを伝えている。
この2曲は曲調こそ違えど、特にハッキリとその意思が伝わる曲ではないだろうか。
ただ、異なる点もある。

首を飾る君のネックレス ぎゅっと握りドアを開いた
森の伴奏 太陽が照らし出すと
まだ拍手もない僕のステージが始まる

SEKAI NO OWARI「ターコイズ」

首を飾る君のターコイズ そっと握り涙を溢した
雨の間奏 嵐が吹き飛ばすと
まだ拍手のない僕のステージが始まる

SEKAI NO OWARI「ターコイズ」

「ターコイズ」では、挫折→再挑戦の時系列が読み取れる。

「拍手も」含めて何もなかった状態から、「逃げる事も勇気の一つ」という言葉を胸に、ネックレスを握りしめながらなんとか踏ん張って再びステージに立つ。
「拍手は」ないが大切なものを見つけた状態で、新しい挑戦の幕が開けている情景が読み取れるのではないだろうか。

つまり、「ターコイズ」ではまだ逃げていないのである。

「深海魚」ではどうだろうか。

今日も生き抜いた その連続に誇りを持て
退化したその目で見つめた 自分だけの進路

SEKAI NO OWARI「深海魚」

逃げることで 変わる事で
生き延びてきたんだ
アイツらより長く

SEKAI NO OWARI「深海魚」

「深海魚」では、「自分らしさ」と戦う様子が曲全体からはっきり感じ取れる。そのなかでも特徴的な2節を抜粋した。

「自分らしく」あるために深く暗い場所へと向かう情景は、強いていうなら「逃げ」である。
逃げた先である深海では、その場所ならではの戦い方がある。
「退化」したその目で見つめているのは生存競争に勝ち抜いた進路である。

「逃げる」という選択肢を選んだことで未来が変わり、「アイツら」よりも長く生き延びてきた。
「深海魚」では「逃げるという選択肢が導いた結果が競争での勝利であることは、ある種皮肉だとも読み取れる。

Nautilus

生き延びてきたんだ アイツらより長く の「アイツら」とは一体誰で、誰目線の歌詞なのだろうか。
深読みすれば可能性は海の如く広がってしまうが、ストレートに取るのであれば、これはオウムガイの歌詞なのではないだろか。

最新アルバムのタイトルでもある「Nautilus」はオウムガイという意味を持ち、ジャケットデザインもオウムガイである。
選定理由をインタビューで答えていた。

Fukase「俺が…………オウムガイ好きだから、ですかね」

ROCKIN’ON JAPAN 4月号

オウムガイの特性として、生存競争や環境の変化が少ない深海に生息地を移し、貝殻を退化させることで”生きた化石”とまで言われるようになった点が挙げられる。

深海に生息地を移したことや退化した目は、多数の深海魚に当てはまる特性ではあるかもしれないが、SEKAI NO OWARI「深海魚」の正体はオウムガイで間違いないだろう。

もともと浅い場所で暮らしていたとされるオウムガイが深海に生息地を移すことを、「逃げ」だと考がえることもできる。
しかし、浅いところにいた今では名前も残っていない生物よりも長く生き延びている。
「アイツら」とは、浅いところから生息地を移さなかった生物のことだろうか。

明るい場所で戦うことがけが正解ではない。
光すら届かない場所で自分らしさを感じるかもしれない。
そのための選択が「逃げ」だと言われたとしても、
勇気のいる選択である「逃げ」が不正解なはずがない。

変わる事の背中を押すような歌詞を、異なる角度から伝えるようなこの2つの曲は、「深海」はもちろん、SEKAI NO OWARIらしい作品だと言える。

さて、ここまでの考察を経て、再び考えなければいけないことがある。
私たちは、マリンスノーなのだろうか。
だとしたら、SEKAI NO OWARIは何なのだろうか。


マリンスノーは、深海に降り注ぎ続け、やがて海底で蓄積する。

深海魚は、深い場所へ逃げて変わり続け、光を灯している、


私たちは深海まで降り注いできたマリンスノーであり、

そんな深海で光を灯し続ける深海魚が、

SEKAI NO OWARIなのである。


セットリスト予想

1.深海魚

2.青い太陽

3.スターゲイザー

4.マーメイドラプソディー

5.スターライトパレード

6.SOS

7.タイムマシン

8.Dragon Night

9.最高到達点

10.silent

11.デッドエンド

12.ユートピア

13.カレイドスコープ

14.バタフライエフェクト

15.ROBO

16.Habit

17.サラバ

〜Encore〜

18.ターコイズ

19.インスタントラジオ


考察まとめ

最新アルバム「Nautilus」から10曲選曲している。
セットリストの半分を占める可能性を捨て切れないほどの魅力が「Nautilus」にはあった。
最後までわからないのは、メインビジュアルの”宇宙感”である。
”深海”と”宇宙”が重なるようなセットになるのであれば、「青い太陽」や「スターライトパレード」ではカバーし切れないため大幅に予想が外れるだろう。
それもまた、良いのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?