見出し画像

才能がないわたしが手放せないもの

 絵を描くことが好きですか?
そう尋ねられたら、わたしは素直にはいとは言えないだろうと思います。

 わたしは昨年の4月から絵の専門学校に通っています。11月の半ばから、週に1回デッサンの教室にも通いだしました。

 理由は、もっと絵が上手くならないといけないから。"なりたい"ではなく、"ならないといけない"なのには、わたしが今年中に絵で内定をいただかないといけないから。
今の画力では、就職できるかは……。そんな状況だからです。

 デッサン教室では主に静物のデッサンをしていて、毎週今まで自分が描いたことのないものを描いています。
先月は食パンとフランスパンを描きました。見出し画像はわたしが描いたものです。悲しいことに、フランスパンには見えないと言われました。

 教室で過ごす2時間は、描くたびに自分のできなさと向き合わなきゃいけないため、わたしにとっては嫌で嫌でたまらない、修行みたいな時間です。毎週行くのが嫌だとTwitterで駄々をこねながら身支度をしています。
 それでもデッサン教室に通えている理由は、1万と数千円の授業料を自分で払ったから──そしてその授業料は返還されないから、だと思います。

 嫌だし、辛いし、悲しい気持ちになるし、なんで自分には才能がないのだろう?なんで自分に向いていないことを続けているのだろう?どうしたらいいかわからない、どうしよう。描いている時に考えているのは、そんなことばかりです。

 嫌なのに、苦しいのに。
それなのに、絵を描くことがやめられない。

 以前読んだ小説に、好きでもないのに、険しい道なのに、それでも絵を描くことがやめられないことを"呪い"だと書いている方がいらっしゃいました。全くもってその通りだと思います。

『絵を描くことが好きじゃないのに
でも芸術が好きで、作家の生き方が好きで
憧れと嫉妬が上手くなりたいって気持ちにさせて
自分には才能がないのに、それでもいつかきっとって夢を見せて
夢と現実のギャップで嫌になって
苦しくて
それでも描かなきゃいけなくて
それでも書きたいと思ってしまって
なんでだろう…どうしてだろう…
呪いだよねほんとうに。こんなの、
辛くて、苦しくて、どうせすごい人にはなれないってわかってるのに、描かなきゃいけないって気持ちになってみたくて、続けていればいつかなれる気がして、表現することに、人の心を動かすことに憧れて、諦めきれなくて
馬鹿だよね…』

 この情けない文章は、少し前のわたしの嘆きです。泣きながら呟いていた、ありのままの気持ちです。過去のnoteを遡れば、似たような嘆きが出てくると思います。

 いつもいつも、上を見上げて苦しくなって、描くことが嫌になって、自分が嫌になっての繰り返し。
それなのに、自由に描ける人たちに憧れて、好きなものを楽しそうに描く人に憧れて、自分もそうなりたいと思ってしまって……。

 絵を描くことをやめたい。違う道を選べばよかった。そんな後悔ばかりしているのに、きっと自分はデッサン教室を辞めても、絵で就職できなくても、絵を描き続けているのだろうなと思っています。


 才能がないわたしが、手放したくても手放せないものは、この焦がれるような絵描きへの憧憬です。
 だから諦めて、とことん絵と向き合わねばならないのだと思います。悲しくても苦しくても悔しくても、描き続けなきゃいけないのだと思います。

 それは、いつかのわたしが後悔をしないために。
 憧れの自分になるために。



 ここまで読んでくださってどうもありがとうございました。♡とコメントが嬉しくて、そのおかげで書くことを続けられていると思います。どうもありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?