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後藤祐乗② 獅子と龍から見る手癖

本日真玄堂さんのinstagramに後藤祐乗の一匹獅子目貫がアップされた。

図録などを見てもここまで詳細な画像は無いから非常に有難い。
今回は祐乗の一匹獅子目貫と這龍目貫を比較する事で祐乗の手癖的なもの(類似性)を探れないか?という趣旨で書く事にする。

その前に、私個人の祐乗作への向きあい方、というか考え方について書いておこうと思う。
まず祐乗の見極め所は「後藤家家彫亀鑑」にて世に広まったとされている。今現在はここに書いてある内容も間違いがあるというのが定説のようである。

この本は初代祐乗や二代目以降の手癖を記している物であり、後藤家がどこを見て誰の作品かを判断していたかの1つの指標となる物でもある。
ところで後藤家の作は折り紙が発行されており、何代目の作かというのを後藤家が見極めていたというが、これはつまり刀でいう所の本阿弥家の出す折り紙と同じで、金貨と替える事の出来るいわば資産的な役割も持っていた。
これは言い換えれば、後藤家が当時の権力者と結託をする事で資産を作り出す事が出来るという事でもある。
因みに正宗や郷と同じように祐乗の作も無銘。(正宗は数振り在銘があるが圧倒的に無銘が多い)
故に祐乗の作でない物を祐乗の作であると折り紙を付けた可能性は十分にあるのではないかと個人的には疑って考えている。

と個人的にはこういう考え方をしているので、例えば「大大名の前田家に伝来したのだから祐乗の作で間違いない」といった先入観は一旦排除して見ていきたいと考えている。
という事で眼の前にある作品の作り方を比較しながら類似性を見つけていく事を長い時間を掛けてしていきたい。
その取っ掛かりとして、今回は真玄堂さんにアップされている祐乗の一匹獅子目貫と手元の龍目貫を比較しながら類似性を探ってみた次第である。

尚、今回はinstagramにて真玄堂さんが祐乗の極め所として書いている部分を抜粋して比較する事にする。
比較する這龍目貫は以下である。

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