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現代刀職展2024を見て② 刀装具編

2024/8/10~10/14まで開催中の「現代刀職展2024」遂に見に行けました。
①刀編では作刀や研ぎ、刀身彫刻、②刀装具編では拵や鎺、鐔などについて、個人的に気になった作について触れようと思います。
(尚、前期展示は見に行けなかったため、後期展示のみの内容です)

①刀編はこちら



①彫金の部

・無鑑査 玉岡俊行氏

似たような図が3枚あり、どういう意味だ?と感じた作だったが、解説を読むと、この難しい透かしをどれくらい小さく作れるか、という挑戦であった事が判明。玉岡氏は九曜紋透かしの作を得意としている印象が個人的にはあるが、突き詰めた感じが作から伝わってくるようであった。
拘りが凄い1枚に感じます。


・優秀賞一席 石井瑛湖氏

昼夜を表現して同じ場所の同じ風景の見え方の差、時間の流れを表現しているのだとか! (夜はフクロウ、昼はカニ)
構図の発想も面白く耳の造形もとても良く印象的でした。
令和の今にも素晴らしい金工の方が沢山いらっしゃいますね。

四分一地を使用して「昼」を表現
黒四分一を用いて「夜」を表現


・優秀賞三席 桑野冬照氏

猫、牡丹、蝶を組み合わせた一作は長寿を願う画題だそうで、猫が蝶と戯れている様子などもとても可愛らしく見ていて楽しかった作。
造り込みも動きが感じられ丁寧に仕上げられていた。
歴史上において猫は身近にいて愛されていたにも関わらず(絵画には良く登場する)何故か刀装具には殆ど見ないという不思議。
猫好きとしては令和の今沢山誕生して欲しい!と願うばかりです。

猫のダルそうな目も堪らない。こういう目実際しますよね。笑



・努力賞一席 松井紀明氏

フグが高さ、立体感を持って製作されている。
表面の鱗の模様を黒や金で細かく丁寧に表現されているが、少しじっくり見てみると黒の間にグレーの模様のような体の模様のようなものも見える。
フグの皮を細かく表現していて見ていても楽しい作。


・努力賞二席 辻本啓氏

現代の石黒に最も近い方ではないかと個人的に推している金工さん。
普段は時計に彫刻(エングレービング)する仕事をされている。
刀装具作りはこの2年位活発にされている記憶があるが、製作工程などXにアップされており工程を拝見するのは楽しい。
実は鳥の鱗まで細かく作りこまれているので、詳しくは是非以下の辻本さんのXを見られてみてください。
スマホカメラだとガラス越しには綺麗に取る事が出来ません。


・努力賞三席 片山恒氏

片山氏の新作鐔。
考えてもみれば刀装具で「青色」は見ないので斬新に感じます。
綺麗と思ったいたらどうやら石を象嵌していたようです。

片山さん本人からコメント頂きましたので載せておきます。
本当はチタンも考えていたようで。そして石は想像以上に固く加工や象嵌が難しかったらしいです。




②白鞘の部

・優秀賞 久保純一氏 

拵下地は正直どこを見れば良いのかイマイチ分からないが、個人的に上手いと感じる作(あくまで個人的)は共通して薄造りであり、柄と鞘のバランスが良く、柄と鞘の繋がりが自然である点、などに感じる。
これは古い時代の鞘にも言える。
反対にあまり美を感じない拵としては柄と鞘の繋がりが悪く(柄と鞘で径のサイズが異なっていたり)、鞘が太くボテっとした感じになっている作。
今回の久保氏の作はそういう意味でも非常に美しく感じた。


③白銀の部

・無鑑査 宮本恒之氏 

鎺の良し悪しというのは一体どこを見ると良いのでしょうかね。
単品で見てもなかなか判断が出来なさそうというか、刀への嵌り具合、鞘への収まり具合を見て判断するとかでしょうか。
それ以外で考えられるとしたらしっかりと並行が出ているとか、鑢の掛け具合、二重鎺であればはめ込み具合などでしょうか。
このあたり日刀保による解説があると助かるのですが鎺単品だけを比較していても全て上手く感じて終わってしまいます。
いつか分かるかもしれない時の為に取りあえず無鑑査である宮本氏による家紋入りの鎺を載せておきます。


④終わりに

鑑賞後は刀剣博物館の屋上庭園へ(3階の階段へ出る通路から外に出られます)。安田庭園が一望でき非日常を味わう事が出来ます。
人も少ないのでおすすめですよ。
行かれた方は是非!


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!

「①刀編」は以下から見れますので是非。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


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