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「良い刀」と「名刀」の違い

何となく巷では「良い刀=名刀」みたいな感じで捉えられている気がしますが、私は微妙にニュアンスが違うと思っています。
今回は良い刀と名刀の違いについて、私が思う所を書きました。

①「良い刀」と「名刀」のニュアンスの違い

一般的に言われる「良い刀」は研ぎ減りの少ない健全な姿、そして地鉄や刃の出来が良いものの事を言うと思います。
但し、「値段の割には」という一文が隠されている気がします。
例えば100万円で刀を買おうとしたとき、刀剣店の店員さんが「その刀は良い刀だよ」と言っていた場合、「その刀は良い刀だよ。(値段の割には)」という意味である事が多い。

一方「名刀」とは健全で出来が良いのは勿論ですが、値段の割にはという概念が無い気がする。
国宝や重文の場合は、○○家伝来や、○○所持などといった歴史的な付加価値も加わったりもするので出来が並みでも指定されている物もあるとか。
そういう意味では来歴も名刀の条件であると言えそう。
つまるところ値段を度外視して選ばれたものが名刀と言われているような気がします。
無理やり言い換えるなら「1億円でその刀を買えるんだから喜ばなくちゃ」というニュアンスの違いでしょうか。

②大抵は「良い刀」選びになる

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しかし刀を買う時に予算上限が無い人などそうそういないと思うので、基本は「良い刀」選びになるはず。
折角買う以上は誰しも後悔したくないですからね。
でもその「良い刀」の基準が最初は特に分からない。
国宝の良さは国宝を見た事のある人にしか分からないように、良い刀の基準も良い刀を見た事のある人にしか分からない。
だから最初はその基準を知っている人の眼を頼らないといけない。

刀屋さんで刀を買う事をお勧めしているのは、その眼を頼れるから。
中には全てが全て良いお店とは限りませんが、その後その人が人生で色々な刀を見ていく中であの時あの人の眼を頼って正解だったか間違いだったのか分かる日が来る。
正解だったと思えれば長く付き合っていけば良いし、間違いだと思えばお店を変えれば良い。
そういう意味ではそのお店のお客さんの行動を見れば良い刀剣店か、悪い刀剣店か分かるかもしれない。(ネットの情報はあてにならないので注意)

③刀の勉強において一番は名刀を沢山見ること?

そういえば刀の勉強において一番良いのは「名刀を沢山見る事」とは玄人の方が良く言う事ですね。
名刀を見れば自分の中の基準が名刀になっていくので位列の判断が出来るようになると。
とはいえそんなに沢山名刀が見れれば苦労はしないわけで…。
例えば鑑賞会に参加して名刀を見ようとしても皆が並ぶので10分並んで1分見てを繰り返さないといけなかったりと、なかなかゆっくり見れない。
名刀を前にすると圧倒されて暫く見ても記憶に残らない事がたまにあるので出来れば何度も見たい。
そういう事を考えると、刀剣店の方と親しくなって名刀を見せて頂くのが一番ベストなのかもしれない。
刀屋さんはそれはもう凄い名刀を持っていますからね…。
いやいや刀屋さん行くこと自体ハードル高いわ!という方は、7/12に刀屋さん見学会するので参加を検討して見て下さい。

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(画像転載元:定例鑑賞会 刀剣博物館


④終わりに

海外で日本刀について勉強熱心な愛好家が増えているらしいですね。
刀を見る目もかなりのレベルに達しているそうで、もはや海外が主で日本刀の研究がされる時代もくるのだろうか、なんて事を考えている。
もしかするともう始まっているのかもしれない。
そして刀が海外に沢山出て行っているようだが、それでも超が付くほどの名刀の多くはやはりまだ日本国内にあるらしい。良かった良かった。
最後に。
自分の中の名刀、自分だけの名刀は確かに存在するし、そちらを大事にした方が現実的だし満足感が高いかもしれない。
でも世の中の名刀の基準を知っておくのも井の中の蛙にならずに良いかもしれない。
でも名刀の基準を知るにつれて手持ちの刀に満足出来なくなってくることもある。
どちらが幸せなのか。
難しい。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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