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茶器の「へにょん」には意味があるのかもしれない

使う前は「へにょん」と曲がった形と色味にただ心打たれたのであるが、いざ使ってみるとその形に意味があるのではないかと思うようになった。

まず、この茶碗を90度づつ4つの方向からみると以下のような感じで形が色々変わって見える。

①0度
②90度
③180度
④270度

変化があって楽しめるのだが、まず抹茶を立てて飲もうとすると飲みやすい箇所が2箇所に限られる事が分かった。

それが以下の窪んだ位置(赤線部2箇所)である。
水色の角度が内側に曲がり込んで急になっている部分ではかなり茶碗を傾けないと茶が飲めない。そして側面にこぼれそうになるし、勢いよく茶が出てくる事がある。
しかし赤線部で飲むと口もフィットするし茶が側面にこぼれる事もない。
ゆっくりと茶も口の中にゆっくり一定のペースで入ってくる。

①0度
赤色は飲みやすい箇所。水色は飲みにくい箇所
③180度


ではこの水色の内側に曲がり込んでくる部分はどういう時に役立つかといえば、抹茶を立てる時であった。
茶筅で混ぜる際に水色の曲がりが急な部分方向に茶筅を振る事で茶がこぼれにくかったのである。
一方で口を付けやすい部分(赤線部)の方向に茶筅を振ると茶が飛び出てしまう事がある。(茶筅の使い方が下手である可能性も充分に高いが…)

美しい造形を意識して作っていたらたまたまこうなったのか、それとも意図してこのような形になっているのか。
非常に持ちやすい事も相まって、どうも使用する時のことを考えて意図的に作られているように思えてならない。
実を伴う事で見た目も更に美しくなるのは刀もスポーツカーも同じような気もするが、茶器もそうなのかもしれない。

…うぅむ。
真実は分からないが、これこそ使ってみなければ分からなかった事に違いはなく、1人で思わず「おぉ…」と感動してしまった。

見た目もさることながら、使い勝手も考えられている、実に日本人らしく細やかな気遣いが施された作品に思えてきた。(尚こちらの茶器は隠崎隆一さんの作)

そういえばYoutubeで抹茶の立て方という動画を見ながら飲みたいと感じた時に少しづつ抹茶を立てているのですが、最初の頃に比べると泡が少し小さくなり、飲んだ時の抹茶の塊も無くなってきて以前に比べれば美味しく飲めるようになってきた気がします。
お茶のたて方1つとっても突き詰めていくと非常に奥が深そうですが…。


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それでは皆様良き刀ライフを!

この茶器を買った時の体験談は以下

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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