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鍋島藤四郎吉光

4/27~6/16まで刀剣博物館で開催中の「五ヶ伝と五ヵ国の日本刀」を見てきました。一番の目的は鍋島藤四郎吉光。


享保名物帳所載で鍋島加賀守直茂が所持していたことからこの名が付いており、その後は池田光仲、その子の伯耆守綱清が5代将軍徳川綱吉に献上しています。
その後は綱吉→家宣→吉宗→家重→家治→家斉→家慶→家定へと徳川家で代々受け継がれてきた事が徳川実記に記載。
現在付帯している古鞘には文政11年に「家慶→家定」へ元服の際に送られた事が記されています。

昭和35年に東京国立博物館に一時委託されていたようですが、以降平成2年に重要刀剣に指定されるまで所在不明となっていたようで、現在はというと特別重要刀剣に指定されています。
今回はこの鍋島藤四郎を見てきた感想など。

・展示を見てみて

思い返せば昨年2023年の全国大会の際に鑑定刀として鑑賞させて頂いた記憶がある。今にして思えば非常に贅沢な経験をさせて頂いたが、その際は茎が隠されており結果的に来国俊に見てしまった。
吉光と知った上で改めて見るとまた違った見え方をするから人間の脳は不思議である。(これがバイアスがかかった状態か)

重ねがあり健全な様子が角度を変えて見る事で確認できる。
ふなっしー藤四郎を含め押形でも吉光はまま茎尻近くに銘を切ったものを見る気がするが、生ぶなのか、それとも茎尻を詰めているのか。おそらく詰めていると思うのだがこの辺り分からない。


いずれにしても鍋島藤四郎は見たところ健全なのは間違いなく、それゆえか細直刃ではなく中直刃に見え、刀身には沸映りが鮮明に現れている。
以下で赤線部を境に白と黒に色が分かれているように見えると思うが、それである。

ハバキ上から刀身の3分の2くらいは地鉄が精美にまとまっているが、それより上には大肌が見て取れる。
大肌の存在を確認できると吉光を見ている気がするな…と感じるのは私だけだろうか。成瀬家の吉光などは大肌な部分がなく小板目の非常に詰んだ美しさがあり、そうしたものも吉光なのだろうが肌立った吉光の方が多い気もする。
匂口は締まり気味であったが小沸が良く付いて冴えている。
刃にはほつれや二重刃なども見られた。

尚、鍋島藤四郎には拵も付帯しているようで合わせて展示されていた。
比較的新しくも見える気がするがどうだろうか。


・終わりに

という事で今日は人生で初めて開館と同時に9:30から展示室へ行ったのですが、既に5組位の方がいらっしゃいました。
誰もいない中ゆっくり鑑賞を…とも思いましたが皆さん考える事は同じなのかもしれません。

展示は2024/6/16まで行われていますので、個人蔵の鍋島藤四郎を是非見に行きましょう!

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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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