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日刀保横浜支部 鑑賞会(2024.6.16)

先週日曜日に行われた日刀保横浜支部の鑑賞会の様子です。
今回は日刀保以外から刀剣を借用しているので写真など許可を得ております。
実は今回支部の方の刀借用の場に私も同席させて頂いた事もあり、解答を知ってしまっていたので鑑定には参加しておりませんが、刀は比較的じっくり見れて写真も撮れましたのでその様子を書いていこうと思います。



1号刀 源正雄

源清麿の高弟である源正雄の作。
刃中沸づき匂口冴える。拳丁子のようなものも見えるが、物打ち辺りにはそれらを横断するような砂流しが見て取れる。
地鉄が無地風であるところから時代が新々刀と見て取れる。
清麿であればもっと相州伝のような地景が入っていたり、粗い沸が見られても良さそうであるが、そうした物が見られない所などは見所だろうか。
答えを知っているからこそ書けるが知らなかったら難しい1振に間違いない。というよりも当てられる自信はない。



2号刀 丹波守吉道

いわゆる典型的な簾刃(すだれば)であり、焼き出しは直刃。
刃文から素直に丹波守吉道にいける作。
初代であればここまで完成した簾刃ではないので、二代と分かる。


3号刀 無銘保昌(重要刀剣)

全体に柾が掛かる地鉄で、刃中には金筋や砂流しが盛んにかかる。

帽子は返らず焼き詰めになり、二重刃が見て取れる。
映りはあるのかもしれないが目立って見られない。
粟田口国吉などは二重刃ではあるが地鉄は詰み沸映りのような物が現れる傾向があるきがするし、今回は地鉄や帽子から大和伝と分かる。
総柾目という点から保昌の典型作と見れる。

茎は真っすぐ切られている点が見所らしい。


4号刀 繁慶(重要刀剣)

新刀を代表する繁慶の重要指定品。
相州伝のように地景が上品に出た作。いわゆるひじき肌という肌は見られないが、何とも言えない特徴的な姿をしている点から、南紀重国とは違う印象を受ける。
この辺りから繁慶と行くべきようにも感じるが、繁慶は個人的に頭からよく抜ける刀工の1人の為、当てられたかは不明。

帽子あたりは匂口が深いが、区あたりは締まり気味。

茎も特徴的な形をしている。(はばきを下して撮影すれば良かったです)
繁盛、繁栄の「繁」の字が入っている事から当時好まれたらしい。


5号刀 若狭守氏房作 元亀二年二月日

特保指定ではあるが、個人的に今回の刀の中で一番出来が良く感じた短刀。
匂口の締まる上品な姿は鎌倉期のそれであり、地鉄も沸映りが綺麗に出ている。
刀を借用する際にはそのような点から来あたりと回答しようと思ったが、どうも地鉄の色が少し白く感じ、鎌倉期の物とは少し異なる気もする。
そのような点から室町期頃に作られた鎌倉期の写しではないかと思うが流派の特定には至らず。
兼定系の刀工でした。
た、たしかに…!しかしこれは白け映りというにはあまりに言葉が似合わない出来な気がする。

因みに帽子が特徴的で、以下のように止めが丸くなっている。
ここがすっとしていたら更にバランスが良さそうに思えたが、それがこの刀工の見所なのかもしれない。


・終わりに

今回も名刀が並び楽しめました。
横浜支部ですが、支部長が数年前に亡くなった事で会員数が激減し、それに伴い体制を新しくしようということになり私も運営の1人になる事になりました。
取りあえずfacebookページを立ち上げましたので、興味ある方はご連絡ください。暫く体制が完全に整うまでの間は私のXアカウントに直接DM頂いたりなどでも大丈夫です。

人数が少ないので刀も待ち時間なく延々と見れます。
初心者の方も歓迎で見学、体験参加なども無料ですので興味ありましたら是非ご参加ください。
鑑賞方法などはレクチャーがありますのでご安心下さい。
今後は以下の予定で行われる予定です。

今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


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