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銘が金色? 金象嵌について

刀には銘の部分が金色の物があります。
義元左文字や生駒光忠など代表的かもしれません。

金と言ってもいわゆるゴールドのようにキラキラ光って見えるわけではなく、実際は黄色…とまではいかないものの反射しないくすんだ金のように見える気が個人的にはします。
私も昔初めて見た時はその見た目に「かっこいい!」と興奮したんですが、金象嵌はあくまで無銘の扱いです。
今回は金象嵌の用途や入れ方について調べました。

①金象嵌とは

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(画像転載元:https://www.higotora.com/cp-bin/blogn/index.php?e=287)

彫った溝に純金を埋め込む技法です。
刀では「無銘」の刀に本阿弥家が鑑定した物に金象嵌が入れられる事が多いそうです。
その為、銘が有るように見えてもあくまで「無銘」という事を勘違いしないようにしたい所です。
朱銘だと彫ることなく上から書いているだけで見た目も如何にも上から書いた感が感じ取れるので「もともと無銘」という印象は強く感じられるのですが、金象嵌は彫った上から金が埋め込まれているので、あたかも最初からあった銘に金を流し込んだものだと錯覚してしまいがちです。


②金象嵌の加工方法

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(画像転載元:https://galleryjapan.com/locale/ja_JP/technique/metalwork/40307/)

ハの字型に鏨を入れる事で簡単に金が剥落しないようにされているそうです。かなり高い技術に感じます。


③金象嵌はいつ頃から入れられるようになった?

金象嵌という技術自体は古くからあったそうですが、刀に入れられるようになったのは安土桃山時代以降と考えられているそうです。
桃山時代あたりに施された金象嵌の代表的なものとして織田信長の義元左文字が挙げられそうです。

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(画像転載元:https://www.asahi.com/articles/photo/AS20181107001916.html)


また、上記を拝読すると、金象嵌の最盛期は試し斬りの増える1658年~1681年頃(万治、寛文、延宝頃)であり江戸新刀の隆盛期と重なり、1688年頃(元禄頃)を境目にして、以降は激減していくそうです。
金自体が非常に高価であったこと、加工にも高い技術が必要であったことからかなりの費用が掛かった事が想定され、元禄以降の武士には経済的に手が出なかったと推測されるそうです。


④金象嵌でどんなことが書かれている?

・所持銘
刀を持っていた人の名前が刻んであります。
以下は「生駒讃岐守所持」と書いてあります。

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(画像転載元:https://kougetsudo.info/ikomamitsutada/)


・裁断銘や試し斬りした人の名前

どのくらいその刀が切れるかという指標として、試し斬りした結果が刻んであります。
下であれば、寛文5年7月19日に、山野加右衛門さんが、2つの胴体を切り離したと書いてあります。

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(画像転載元:https://www.touken-sato.com/event/katana/2014/05/W-katsumitsu-02.html)


・すり上げた人や日にち
いつこの刀を短くしたのかが書かれています。
以下は、長光をすりあげたものだと光徳がサインをしています。

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(画像転載元:https://kougetsudo.info/mei-gou/)


・鑑定した人と鑑定結果
無銘のこの刀を誰が鑑定し極めたのかが書いてあります。
下であれば、本阿弥光徳という人が鑑定して光忠と極めた、という意味になります。

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(画像転載元:https://kougetsudo.info/ikomamitsutada/)


⑤金象嵌でも怪しい物はあるらしい

日本刀の茎で上記のように盛り上がった金象嵌があれば怪しんだ方が良いとのことです。
金象嵌を入れた後はヤスリをかけるらしいので鑢目が無いものや、茎の鑢目と逆になっている物も怪しんだ方が良いらしいですよ。
詳細は以下を読まれると良いかもしれません。


⑥終わりに

金象嵌が入っていると見た目的には一瞬おっ!となるかもしれませんが、あくまでも無銘の刀に後世の人が鑑定して入れただけですので間違いもあるそうです。
とはいえ、本阿弥9代(光徳)、10代(光室)、11代(光温)、12代(光常)、13代(光忠)の5名は鑑定精度が非常に高いらしく、かなり重宝されているとのこと。
中でも9代の光徳は折り紙は残していない物の、本阿弥家の中でも一番著名であり、光徳が入れた象嵌が入った刀は稲葉郷や中務正宗、へし切長谷部など国宝指定のものも多いです。
ですが上記の人達の金象嵌が入った物が手頃な金額でポンと手に入る事はまずないでしょうし、大抵は金象嵌を見てもあまり期待しすぎず、興奮しすぎず、おまけ程度に見るくらいが良いのかもしれませんね。


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