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名刀は海外へ。大名刀はまだ国内に。

円安の影響もあり刀が海外で高く売れているようですね。
とはいっても全ての刀が海外で高く売れているわけではなさそうで、完全に2極化しているようです。
例えば清麿や虎徹、村正、正宗という有名工は高いそうです。
五ヶ伝で言えば相州伝は人気だとか。
金筋や砂流し、地景など目に見えて派手さがあり分かりやすいからかもしれません。
一方で日本人が好き?な粟田口などはそこまでの人気ではないと聞きます。
地鉄の奥ゆかしさなど相州伝の派手さに比較すると理解され難いからでしょうか。
貞宗くらいまでの相州伝も地鉄には潤いがあり粟田口に引けを取らない位に綺麗には思うのですが、もしかしたら「どうせ綺麗な地鉄なら派手な方が」みたいな感覚かもしれません。これは分かりませんが。
あくまで傾向の話なので粟田口が好きな海外の方も当たり前ですがいます。

古刀にせよ新刀、新々刀などにせよとにかく一部の刀がとんでもない人気を見せている一方で、人気の無い刀は海外でも特段高く売れているわけではないようです。
なので2極化。

そのような世の中で、海外でも人気の虎徹や村正、清麿などの著名工作や特重などの名刀が海外に多く出ていくのは必然な事に感じますが、それでも重文クラスの大名刀などに目を向けるとまだまだ国内に残っているようです。
例えば特重でも無銘の刀は海外に出ているようですが、出来の傑出した生ぶ在銘の作などはまだ国内に残っている、という感じでしょうか。
相州伝などにしても名物などはまだまだ国内にあり海外には行っていないようです。

先日の東京都支部の鑑賞会などを見ていても思いますが、例えば焼けてない藤四郎吉光の唯一の小太刀(尚、焼けている小太刀は一期一振)や光山押形所載の三条の在銘太刀などは国内にあります。
3年程前に刀剣博物館で行われた「珠玉の名品展」などもそうでしょう。
昔からの刀剣本に多く所載されているような大名刀(勿論、個人蔵)が多く陳列されていました。
そうしたものは刀剣店なりコレクターが売らないと決めていたり、売るにしても確かな行先でまた戻ってくるような人に渡るからこそ国内に残っているのでしょう。
とりあえず目先の利益ばかり優先する人が増えてしまうとあっという間に国内からそうした大名刀はなくなってしまい、国内に残るのは国指定品(重美や重文、国宝)だけになります。

目先の利益に目を晦まさない為には、刀が好きで好きでたまらない事は勿論の事、真面目に刀を勉強し続けて、刀が歴史的に果たしてきた事や、刀を所持する意味などを本質的かつ高次元に理解する事が大事になってきそうです。

確かに海外に重要や特重といった沢山の名刀が流れているのは事実かもしれませんが、まだまだ超の付くような大名刀は国内に残っている印象が個人的には強いですし、実際にそのような所有者の中には出来れば海外には出したくないという人も多いです。
今はそれらの刀を70代以上の方が中心になって所持されていますが、10~20年後、その意思を次世代の人が継いでいけなくなった時はこうした刀も海外に飛散する事でしょう。

世の中にお金を持っている人は沢山います。
しかし刀の本質を理解して刀が大好きな人ばかりではありません。
今や刀が好きな海外の方は多いですが、海外の方に負けず日本でもそうした人がもっともっと増えると良いですね。

尻懸則長 「珠玉の名品展」より


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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