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4/16日刀保東京都支部 鑑定会 惨敗に終

今日は3か月に1度の日刀保東京都支部の鑑賞会でした。
3か月前は行けなかったので、今年初参加です。
東京都支部は毎回素晴らしい刀や刀装具が並ぶのでとても楽しくまた勉強になります。
鑑賞会に並んだ刀装具は室町時代に足利将軍家に仕えた後藤家上三代(祐乗、宗乗、乗真)の作が、刀はそれに合わせて室町時代1395年~1550年頃(応永~天文)までの作が並びました。

・鑑定刀の振り返り

という事でまずは今日の1本入札の結果から!

全部1点に見えますが、1点が5つではありません。
合計点が書かれて無いから時間内にちゃんと出してないのでしょう?

いいえ、ただ全部間違えただけです。0点です(´;ω;`)
1つも当たらなかった辛み…
という事で次は1つでも当てるためにも振り返りをしてみます!


鑑定刀①備州長船重真(折り返し銘)

切先が大きく南北朝時代の体配。
とはいえ地斑映りのような映りが鮮やかに出ていた事、匂口も柔らかく刃文も比較的華やかで帽子が三作帽子のように見えた事から最初長光に入れる。
しかし長光にしては匂口が締まっていたと感じ、最終的に真長に入れて×。
帽子が大きい事は確かに引っ掛かっていた。
南北朝の有名所で言えば兼光であるが、それとはどうも違う様に見えた。
しかし元重は頭に出てこなかった。
元重といれていれば同然となっていた様子。
しかしそれは今の自分には出来ない。
元重、元重…いつも存在を忘れてしまう。。

鑑定刀②初代信国(短刀)

重ねが薄く南北朝期の姿に見える。そして刀身彫がある。
ぱっと見は長谷部あたりに感じたが、刃文は皆焼ではなく何かよく分からないが映りも鮮明に立っている。
しかしどちらかというと研ぎ減りの進んだ映りにも見えたので元の刃文や映りを想像してみる。
すると何となく区上あたりの刃文と映りの形が同じような模様で入っているように見えた。
以前の重要刀剣指定展か何かで刃文に沿って同じように映りが入る特徴が吉井派と見た気がしたので、吉井に入れて見る事に。
因みに短刀姿は良く知らないが、吉井の時代も室町か南北朝か分からなかったので取りあえず勘で吉井にして×。
今吉井を改めて調べてみるとやはり姿が違う。これはまた一つ勉強になりました。
因みに刀身彫と重ねの薄さから信国は考えなければならなかったです。
しかし一瞬たりとも信国が頭に思い浮かばなかったので勉強不足。
元重同様なぜか毎回忘れてしまう刀工の1人。


鑑定刀③肥前国忠吉(刀)

反りが高い。凄い輪反りをしている。いや、あれは輪反りというのだろうか…?
刀身を見るとよく錬れた詰んだ地鉄に地沸が良く付いている。
刃文は小のたれの直刃調で帽子あたりに二重刃が掛かる。
帽子あたりには粗沸が目立つ。
刀身中ほどの刃文は匂口が深くなっている。
地鉄の冴えた雰囲気から古刀と予想。
よく沸づいていたので大和あたりかを想定し若干地鉄が行光風に感じたので当麻などを検討するも、少し反り方が違うようにも思う。
そしてよく見て見ると同じく刀身中ほどに映りが見て取れる箇所がある。
地鉄の冴えとこの映りから、粟田口の線を考えてみる事に。
帽子の粗い沸は心の中で引っ掛かっていたものの、まぁそういう物もあるかもと思い、二重刃がある点から粟田口国吉に入れて×。

結果的には初代の忠吉。
刃文は確かに言われてみると帯状になっている箇所が見られる。
それにしても忠吉の何と上手いことか。
完全に時代を読み間違えました。

粟田口国吉の二重刃


鑑定刀④初代越後守包貞(刀)

匂口がとても深く焼きの高い刃文は柔らかい。
華やかな作であり、若干反りのある姿と焼き出しが直ぐ調で始まる事から新刀と断定。
最初親国貞を考えてみたが、それにしては焼き出しの長さが長い。
そして刃中には沢山の粗沸が点在し、映りのようなものも見える。
ここで映りのような物が見えて「?」となる。
新刀で映りと言えば石堂などが考えられるが、焼き出しが違うようにも思える。
暫く悩んだが分からず。
そう言えば以前初代伊賀守金道を拝見させて頂いた際に同様の粗沸が随所に見られたので映りのような物は取りあえず無視して金道に入れてみて×。

初代伊賀守金道の刃文

答えは包貞。
頭にすら浮かんで来なかった。
濤瀾刃だったら浮かんできたかもしれない。
しかし確かに匂い口は言われてみるとそっくりなようにも思える。
しかしあの映りのように見えたものは一体何だったのだろう。。


鑑定刀⑤藤原清人(脇差)

重ねも厚く、おそらく造りで大切先。粗沸が随所につく。
見た目からも新々刀期で清磨を考えてみるが、清磨はもっと古刀色が強く刃中が変化に富んでいるので除外。
清磨一門の誰かを考えるもそもそも殆ど知らないので、もう少し刀身をじっくり見てみる事に。
するとまた区上あたりに映りのような物が見える。
映り?となる。
もしや新々刀ではなく、引っ掛けなのではないか?
古刀という線で改めてこの脇差を見てみる事に。
すると何となく関の兼房あたりの兼房乱れに見えなくもない。
しかしそれであればもっと匂口が締まり、粗沸は付かない気もする。
姿もおそらく造りというのは兼房にあるのだろうか?そんなことを想いながらも映りの存在が頭から離れず兼房に入れて×。
結局時代違いで、清磨一門の清人という人の作でした。
素直に観ていれば良かったがそれが難しい。。

・終わりに

今回の反省点で言えば、まず刀身の姿をもっと素直に受け入れて考えるべきでした。1号刀にしても帽子の大きさから鎌倉期の姿からは少し外れる。
でもそういう作もあるかもしれない、と片付けてしまう事が多かった。
特に5号刀は悔しい。
勉強不足を感じると共に素直に入札する事の難しさを感じた1日でした。
悔しっ!!

ちなみに今回見たかった後藤家上三代の作。
祐乗の作は初めて拝見しましたが、6点程?並び間近で鑑賞出来たのはとても良かったです。
ルーペを忘れてしまったので今度は持参しなくては。
個人的には龍の目貫が一番好みでした。
金の含有量が多いのか分かりませんが、コントラストが濃く見え、また龍の表情がとても豊か。
まだまだ違いが分かるには全く至っていませんが、本物を間近で見れる機会はとても貴重です。
という事で今回の都支部もとても楽しめました!


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


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