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一呼吸おいて手放す

刀や刀装具を買ってから何度も何度も見ているとその物の良さを充分に理解した気になってくる。
そして暫くすると新たに欲しい物が出てきて、それを手に入れる為に今あるものを手放す。
欲しい物がある度に追加で買えれば何の問題も無いが、資金やスペースの問題からどうしても物の「入替」を検討しなければならない時が来る。

その時にこれはもういいやと気兼ねなく出せる物ばかりであれば良いが、得てして高い授業料を払って得た物は得られる内容も濃く(というよりもそういう気持になっているだけかもしれないが)、手放す時は買う時以上の苦悩を強いられることも多く悩ましい。

それでも尚新しい物はどこか魅力があり、最後は思い切って手持ちのコレクションを手放す事に決めるわけだが、充分に良さを理解して学ぶ事ももう無いと思っていた物がなぜかその時になると「魅力」という光を発する。

そしてやはり手元に残しておこうと考えなおした品が今手元にあるが、その時から数か月経ち今改めて見るとあの時手放さなくて良かったと思える。
一時の勢いというか感情の高まりで物の見方がぶれる事が自分の場合あり、そこは一呼吸おいて見直さなければならないと感じている。

新しい物を手に入れる事も魅力的だが、今ある物を取り出し、一見見尽くした価値を絞り出して新たな価値を見出し、物を見ても感情の高まりがもう無くなった後こそ、本当の意味で手放す時なのかもしれない。
そうすれば手放した後に重要や特重指定を受けたからといって後悔する事もないだろう。自分で見尽くしたわけなので他者の評価はそこまで気にならないはずである。
ただその手放すタイミングがいつなのか、結局判断が難しい。

そんな事を考えていると、以下のブログに良い事が書いてあった。

人間は観ているようで、観ていないのである。
せっかく自分の所有物になったのに十分に観ていない。
このようなことでは罰が当たる。買うばかりが楽しみではないはずである。
当然に手前誉めが多くなりますよ。だって私が感動して高いお金を出して集めたものなんだから。
誉めるところが無くなれば、自分の眼が上がったのだから手放せばいい。
一つの作品について、1回で終わりというのではなく、その都度、観て、新しい発見を加えていきたい。
(引用元:http://katana.mane-ana.co.jp/syozouhin.htm)

そうか、褒める所が無くなれば手放せば良いのか。
見尽くして見尽くして、感情の高まりが一切無くなった時こそ手放す時なのかもしれないですね。
まさに金言であるように感じました。

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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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