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日本刀は美術品だから刃引きすべきという意見について

先日私のあるツイートに対して興味深い返信がありましたので、今回はそれについて真剣に考えてみようと思います。

一応私は以下のように返信しました。

この方の言う「刃付け」という意味が
「日本刀には刃文が無くて良いのでは?」という意味なのか、
「刃引きをして切れないようにした方が良いのでは?」という意味なのか、どちらか分からず、取りあえず後者の「刃引き」という意味と捉えて返信しました。
他にも「現代に於いては」という部分が現在作られる刀においてと限定しているのか、現代において昔の刀も、と言っているのか分かりませんでしたが、取りあえず後者として回答しました。

この方の言いたかった事を私なりに解釈すると、
「本物の日本刀でも現在は武器ではなく美術品として扱われているのだから、刃文はそのままでも刃引きして切れないようにすれば皆が安全に見る事の出来る美術品になり、良さがもっと広まると思うのですが」という質問と解釈。

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これは今まで考えもしなかった事で面白い(興味深いという意味で)質問だなと感じ、実は20分位この事について考えてました。
読んだ瞬間は即座に「反対」だったのですが、数十分位考えていると分かる部分も一部あるなと。
なので少し返信に時間が掛かってました。

勿論全ての刀を刃引きする事は美的観点以外にも文化財の破壊にも繋がるので論外ですが、例えば小さい子に刀の魅力を知ってもらいたいと思って小学1年生位の小さな子に向けた「刀を持ってみようイベント」を開催したいと思った場合、真剣を持たせるのは安全上なかなか困難に思います。
主催する側もそれを見ている親からしても刃引きした刀を持たせた方が事故リスクを低減出来て、開催もしやすいのではないか。
特に不特定多数が参加するようなイベントであれば尚更。
万が一警察に何か口出しされた際も刃引きされていれば理解してもらいやすい気もします。(こういったイベントの開催はそもそも違法ではないので開催自体悪い事ではないのですが、難色を示す警察は多いはずです)

勿論切れる本物の刀を手に持った方が緊張感が増して魅了される子供達も多いかもしれない。
でも小さい子の場合は、まだ危機管理能力が甘い子も多いので、やはり安全面を優先すべきにも思う。
言い換えれば、日本刀の良さを100%で伝えられるけど危険度50%よりも、
良さを80%で伝えて危険度5%の方が良いと思う。
そういう意味で冒頭の意見は一理あるな、と。

但し、大人が刀を触る上で怪我をするかもしれないから刃引きするべきという意見は論外。
そもそも日本刀が切れる物という事は周知の事実ですし、それを持つという時点で怪我をするかもしれないというリスクは大人であれば誰でも容易に想像できます。
因みに私は鑑賞時に怪我をしたことが無いので実際どの位あるのかは人によると思いますが、正しい鑑賞方法をしていれば滅多に怪我する事は無いと思います。
怪我するから危ないと言う人は日本刀をそもそも買わないでください。
その為に模造刀があります。
もしくは注文打ちして個々に刃引きしてもらってください。


・終わりに

この方の言う「刃付け」という意味が「日本刀には刃文が無くて良いのでは?」という意味だった場合。

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これは大反対です。
まず刃文部は焼き入れする事で硬質化しています。
つまり武器として重要な役割を担っているので刃文が無いと武器としての強度が落ち、それはそもそも日本刀としては失格です。
また美術品としての観点から見ても、刃文は刀の重要な魅力の一つです。
そこを無くすと刀に興味を持たない人が続出するはずです。
なぜそう言えるのか?

試しに刀に興味が無い人に「日本刀描いて?」と言ってみてください。
必ず刃文は描くはずです。
そしてどんなマンガにも必ずと言っていいほど刃文だけは描かれています。
読み手からしてもそれだけ「刃文=日本刀」とイメージする人は多くなるはずです。

刃文を無くすことは武器としての面から見ても、美術品としての面から見ても日本刀では無くなるので私は大反対です。
刃があるから日本刀は美しい美術品なのです。
武器としての機能美です。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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