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後藤祐乗③ 祐乗一匹獅子を拝見して

真玄堂さんにお邪魔させて頂き、以下の祐乗の獅子目貫を拝見させて頂きましたが実に素晴らしい目貫でした。

薄造りであるもののずっしり重く、金の色がやはり白っぽさを帯びている。
オレンジ色の金ではない。
表面はツルツルしておらず、どこか金属を叩いて曲線を造形したような僅かなゴツゴツ感が見られる。

(画像出典:真玄堂instagram


裏行も深く高さがあるように見受けられ、内側に回り込むようなくくり出し手法も見られる。
縁は薄い所、厚い所見られ均等ではなく、端面には鑢が掛からない(大体3代目の乗真くらいまでは鑢が掛からないとのこと)。

(画像出典:真玄堂instagram

根は陰陽根で、陽根(丸棒)の周りには四角い薄い力金(板)らしきものも見え、陰根(土管のようなもの)には見られない。
しかし聞く所によると後付けでもないだろうとの事。(なぜそう言えるか聞くのを失念してしまった)

意匠面で言えば、体全体に深く鏨を入れているわけではなく、骨の浮き出した感じや筋肉の付いたところを強調するような所では少し浅めに鏨を入れるなど最小限に鏨を入れる事で、比較的シンプルに仕上げられた印象を受けました。眼は周りを一段下げる事で表現している。

しかし彫り込む所は彫込み、陰影をはっきりさせている。
目貫そのものの高さがある事もあり、立体感が強調されているから余計にそう見えるのかもしれない。
もし体の紋様など全てが深く彫り込まれていたとしたら目のやり場に一瞬困ってしまいそうでもある。今回の祐乗獅子では顔周りが特に深く彫り込まれていたので自然と獅子の顔に目が行く印象があった。
そうした狙いがあり作られた物かは分からないが、鏨の強弱の付け方は1つ感動する点であった。
尚、獅子の表情は3代乗真の作と比較しても丸みを帯びたかなり優しい顔つきをしていました。

初代祐乗(画像出典:真玄堂instagram
三代乗真作(「後藤家十七代の刀装具」より)

改めて手持ちの目貫と比較して見ましたが作品から感じる印象というものが近く、同じ作者によるものである可能性も近い印象も受けました。
ロマンが拡がります。
また祐乗の作品をじっくり拝見出来る機会があれば更新しようと思います。



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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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