見出し画像

「沸出来」と「匂出来」の具体例

刃文はつい波のような形に目が行ってしまいがちですが、それ以前に
「沸出来」と「匂出来」の2種に大別する事が出来ます。
この違いは実物を見ながらでないとなかなか理解が進まない気もするのですが、画像や動画を集め出来る限り違いを記事内で伝えられないかと思い書いてみます。

①写真での違い

刃文は粒が集合して構成されています。
粒の部分は超拡大して見ると凸になっており、そこに光が当たり反射する事で刃文が光って見えます。
その粒の大きさにより粒の呼び方が変わります。
これが「沸」と「匂」です。
良く本などでは目に見える粒が沸、見えない位に小さいのが匂と言われます

また、下の写真で白い部分(刃文の線)を「匂口」というのですが、
赤矢印のように幅が広いと「匂口が深い」、
青矢印のように幅が狭いと「匂口が締まる」と表現されます。

画像1

(画像転載元:「ふでばこ39」 株式会社白鳳堂)


②「沸出来」の刀を光に当てた時

勝武堂さんがYoutubeに上げている動画が刀を手に持った時の見え方に酷似しているので、リンクを貼らせて頂きます。


③「匂出来の刀」を光に当てた時の見え方

画像2

(画像転載元:https://yuhindo.com/osafune-kagemitsu-tachi/


④実は違いが難しい

ではこれは沸出来、匂出来どちらでしょう?


解説を読む限り「匂出来」のようです。
では下はどうでしょう?

画像3

(画像転載元:https://yuhindo.com/yosozaemon-sukesada-3/


粒は肉眼で見えづらそうですが、これは「小沸出来(こにえでき)」と呼ばれるもので、沸出来の部類に入ります。
小沸ってなんだよ、って感じですが沸の粒が小さくて匂出来までいかないものをこのように表現する事があります。
紛らわしいですね。
このように違いが微妙な刀が多く私もまだ分からない事が多いです。
私は未だによく「これは沸出来ですか?匂出来ですか?」と刀屋さんに聞いています。


⑤個人的な見分け方

先ほどのこの2つの画像を比較して見て下さい。
上が沸出来で下が匂出来です。

画像3

画像2

光を当てた時に、
沸出来の刀の方はギラっと刃文の明るさが伝わってくるのに対して、
匂出来はギラっとするのではなく、柔らかくぼわんとしたような見え方をします。
あくまで綺麗に研がれた刀での話になりますが、本当に上記写真のように見えるので、そのまま写真で感覚を掴んだ方が良いかもしれません。


⑥終わりに

有名所で言えば、正宗は沸出来、景光は匂出来です。
刀を初めて見た時は刃が明るくギラっと見える沸出来の刀が圧倒的に好きだったのですが、今はギラっと主張しすぎない匂出来の方が好きです。
皆さんは沸出来の刀と匂出来の刀どちらが好きですか?


今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はハートマークを押してもらえると嬉しいです^^
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き御刀ライフを~!

画像6

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?