見出し画像

信用できるかは第3者の意見が参考に

第三者の意見、評判というのは時折とても大切に感じる。
こと職人へ依頼する際は特に。
以前作品を見てとても良さそうに感じた刀職さんがおり、いつか依頼したいなぁと思っていた方がいたのですが、どうも周りの刀仲間や別ジャンルの職人の方(研師なら鞘師というような)からの評判が良くなく、結局やめました。

1つの刀を仕上げるのに、刀を打つ刀鍛冶、それを研ぐ研師、白鞘を作る鞘師、はばきなどを作る白銀師、拵など作る場合は柄巻師や鞘に漆を塗る塗師などなど沢山の職人が1振には関わっている。
故にスケジュール調整などは結構難しいようで、どこかがスムーズにいってもどこかで停滞するというのはよくある事らしい。
結果全体の遅延に繋がり、依頼人への納品遅れに繋がる。
自分だけで調整出来ない分、実に管理が難しい事が想像できる。

このような感じで色々な職人の所に刀が行ったり来たりするので職人同士のコミュニティが結構出来上がっている印象がある。
その為そういう所で話を聞くとあの人はどうとか生々しい評判を聞く事が出来る。

例えば人を見て手を抜きの程度を決めるような人で品質にばらつきがあったり、物は良いが納期を当たり前のように守らない、音信不通になる人、しかし自分都合で連絡を取りたい時だけやたら早く連絡が来るなどなど様々な酷評を耳にする。
反対に、あの人は信頼できるとか、作業が丁寧とか、色々教えてくれる、連絡がマメとか真面目などなど、良い評判ばかりの人もいる。
大体そのような人は誰に聞いても同じような印象を持たれているのでやはり信頼できる方なのだろう。

研ぎにしろ、白鞘新調や、はばき製作、拵製作などにしろ、職人へ依頼する場合はどうしても刀を預けなければならない。
高い刀を長期間に渡り預ける事は当然ながらリスクがあり、酷い場合は様々な言い訳を並べ遅延を繰り返された挙句持ち逃げされてしまったなどの事件なども過去何度も有ったようである。
その為、技術以前に何よりもその人が人間的に信頼に足る人物かどうかというのは最重要ポイントであり、その指標として参考になるのはやはり第三者の評判かと私は思います。

お店を通して依頼すれば良い、という意見はその通りで持ち逃げなどのリスクもなく安心して頼める。
周りに意見を聞ける人がいない場合はお店経由で必ず頼んだ方が良いです。安全を考えるのであればこれが一番間違いがないのですが、職人さんと直に話す事で学べる事というのは膨大にあり、私自身そういう所にも価値を感じているのでどうせ依頼するのであれば出来れば直に依頼したい。

そんな時に個人で依頼する場合の予防策としては万が一に備えて預かり証を取り交わしておくことや、預けた時の動画なり記録を取っておくなどしておくのが良いかもしれません。
その人を疑っているようでとてもやりづらいのですが…。

後はSNSで拡散力を高めておくというのも一つ予防になるかもしれません。
フォロワー数10人の人が「○○という職人に刀を持ち逃げされた!」と叫んでも、そもそもその人が本当の事を言っているのかも分かりませんし拡散されづらいですが、フォロワー数1万人の方が同じことを言ったら、少なくとも本当の事を言っていると思われ拡散もされるでしょう。
これを実際にするしないかは重要ではなく、しようとした時にそれが出来る状況であるというのは大きな予防になると思うのです。
職人さんはやはり信用が第一ですから。
刀を1振盗んで信用が地に落ちると仕事が無くなり生活が出来なくなります。
まぁ1振盗んで生活が安泰になるような刀なら良いかもしれませんが、そのような刀がその職人の元に行く事はないでしょう。


今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はいいねを押して頂けると嬉しいです^^
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?