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刀おじさんの一生態

刀の展示即売会などに行くと刀を前にして刀談義に華を咲かす人は多い。
その中で周りにも聞こえるほど一際大きな声で話す人がいる。
なぜかそのようなタイプの人にこの傾向があるような気がするが、間違った知識をさも正しいようにひけらかし、大した物でない物をさも凄い物かのように自慢する事が多いような気がする。
そして得てしてそれをその道のプロに話している事がある。
なぜなのか。
以下は私が実際に聞いた会話。

・間違った知識をひけらかすおじさん

おじ「刀?俺は買わん。高いもん。そもそも刀の所持は警察に届けなきゃならんだろう」

女性「警察でなくて教育委員会だそうですよ」

おじ「今そうなったの?昔は刀買うには警察に届けないといけなかった。今も変わってないはずだ」

女性「そうなんですね…でも刀って綺麗ですよね~。(←話しても無駄を悟った様子)」

※正確に書けば「銃砲刀剣類登録証」の有無で対応が変わります。
・登録証有の刀
売買される刀には基本必ず付いています。購入譲渡した場合などは所有者変更を教育委員会に届け出。警察への届け出は不要。
・登録証無の刀
家の蔵から出てきたなどの場合に多いですが、登録証が付いていない刀の場合は警察へ届け出が必要

上記の場合で言えば展示会の場での話であったこと、購入を前提にした話と考えられるので「警察へ届け出は不要」が正しいです。
因みに昔も刀を買う際は警察に届ける必要はありませんでした。


・さも凄い物のように自慢するおじさん

おじ「俺最近、長いのと短いの2つも買っちゃったよ!」

男性「凄いですね。結構したんじゃないんですか?」

おじ「まあね。特別貴重と貴重の2つ。合計で28万。」

男性「なるほど」

おじ「まぁな。特別貴重なんかが付いている良い刀は高いんだよ」

尚自慢話を聞いていた男性は刀剣店の方。つまりプロ。
その後おじさんが「お、この刀いいね~!」と売り物の刀を見て大声を発するも、なんだろうこの説得力の無さは。
むしろその刀の魅力を落として周りに伝えているようにすら感じる。
(因みに特別貴重刀剣や貴重刀剣という鑑定書は昔の鑑定書になり、現在では信頼性が無く付いていても意味はありません)

と、この2つは半ば強制的に私の耳に入ってきた実話ですが、おじと話している方の気持ちがヒシヒシと伝わってくるような不思議な感覚を覚えます。
おじの話相手になった方はお二人ともかなり言葉を選んで話している様子でした。
そういえば実際に知識が豊富で〇千万円クラスの刀を持っている人にこの大声で語るタイプを見た事が無い。
まぁ大声で物自慢するのは品性を感じず、そのような人がそのような刀を持っている事の方がレアケース、というのはありそうですが。

しかし人から聞いた話によると、昔鑑定会に文化財クラスの刀を貸し出した方がいたそうで、その刀が鑑定会で絶賛されるや否や、会場で「その刀は俺の!」と大声で叫んだ人もいたようで。
会場の人は皆苦笑いだったと…。

という事で何か「刀おじさんの生態」を1つ分類出来たような気がする。
大声出すおじさん、大抵ロクな人いない。

切刃貞宗


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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