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鎧通し

日本刀は「太刀、刀、脇差、短刀」と大きく分類されていますが、短刀の中には「鎧通し」と言われ、やたら刀身が分厚い物があります。

甲冑の隙間から刺すことを想定して作られているため刀身の幅が小さく(身幅が狭く)、厚さ(重ね)が1cm前後とかなり分厚く、刃長は7寸(21㎝)前後と短い。
小ぶりで反りが無く、茎が長いのも特徴です。
以下のハバキの写真を見ると如何に分厚いかがよく分かります。

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(画像出典:銀座誠友堂 第26回重要刀剣 備州長船忠光作

因みに普通の短刀は以下くらいの厚みです。

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(画像出典:銀座誠友堂 第22回重要刀剣 高木貞宗 無銘

鎧通しの茎が長いのは刺す際に折れないようにする為などといった理由があったのでしょうか。
鎧通しは室町時代に登場しますが、売り物はあまり見ない気がします。
現存数が少ないのかもしれません。
短刀の中でも実戦で使われる事の多い消耗品だったからでしょうか。
室町期の戦闘様式は馬上戦よりも歩兵による集団戦が主流だったことから槍の製作が盛んに行われていたようです。
しかし一方で1対1の組み打ちも盛んに行われ、鎧通しはこの時に役立ったようです。
鎧通し以外にも、祐定など諸刃作りの短刀(棟側にも刃がある短刀)もこの時代に見られるようになったのは、こういった戦闘様式が流行った事が背景にあるのかもしれません。


・終わりに

個人的に鎧通しは剣と同じくらいにロマンを感じます。
いつかは欲しいこれらの形状…。
少ないから高いかと言えば必ずしもそうではなく。
意外や意外、20万円前後で買えるものも多かったりします。
勿論出来や健全性、誰作かにもよりますが。

ちなみに鎧通しの有名所でいうと、厚藤四郎があります。

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やはり横から見るととても分厚いです。

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この分厚さの穴が体に開くと考えると少しゾッとしますね。
一度刺されたらその傷の大きさから止血もなかなか出来なかったのかもしれません。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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