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刀をなぜ美しいと感じるのか?

日本刀は武器です。
凄い切れ味を持った刃物です。
人を殺すために改良が続けられました。
そこになぜ人は美しさを感じるのでしょうか?
今回はそれについて個人的な考えを書いてみます。

①人は刀のどこに美しさを見出しているのか

まず刀を美しいと感じない人もいると思うので、刀を美しいと感じている人がどこを見て美しいと感じているのかについて紹介します。
感じない人も感じている人の思考回路を知る事が出来れば価値観が拡がるかもしれませんね。
(キッカケは以下の澤田さんのツイートです)

まず日本刀を直感的に綺麗、と感じる場合は無意識に目が3つの要素をトータルで判断しているからと思われます。
それが「姿、刃文、地鉄」です。

姿は、刀の全体の造形を指します。
時代毎に反りや大きさが異なり、時代を捉える上での情報源になります。

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次に刃文、これは下の白い刃の部分です。
刀工の特徴が顕著に出ている所で、多くの人が恐らく一番に目に付く箇所。

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最後が地鉄で、これは鉄の表面を見れば見る事が出来ます。
刃文以外の部分に模様(地景)が見えると思います。
地鉄は初めて刀を見る人であれば、まず目に留まっていても殆ど気にしない箇所に思われますが、刀を好きな人ほどこの部分を良く見るそうです。
日本刀はステンレスのようにピカピカしているイメージを持たれている方も多いですが、実際はこのように模様が出ています。
(肌が積んでいても同様)

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刀を全く知らない人でも、ぼーっと見て美しいなぁと感じる場合、恐らく
目は今紹介した3つ(姿、刃文、地鉄)の情報を無意識に捉えています。
ここに刀の美しさが秘められています。


②武器に美は必要ない?

「武器に美は必要ない。如何に効率よく殺せるかだけだ」
このような意見もあり至極真っ当に聞こえそうですが、私は順番が違う様に思います。
そもそも戦の多かった時代(鎌倉、南北朝、室町時代など)は決して美しさを求めて刀を作っていたわけでは無いと思います。
どうすればもっと切れるのか、沢山の人を殺せるだけの耐久力はどうすれば生まれるか、を考え抜いた結果が今の日本刀の形になったのだと思います。

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(画像転載元:蒙古襲来絵詞 wikipediaより)


地景もそれらを考えるうえで材料を試行錯誤した結果出たものであり、
以下のような映りも同様。

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(画像転載元:https://yuhindo.com/ichimonji-norifusa-tachi/)


出ようが出まいが恐らく殆どの武士は気にしなかったでのは無いかと思っています。(そもそも鎌倉時代は研ぎの関係で映りや地景が見えていたかも怪しい)
とにかく長い時間破損する事なく使えれば良い。
それだけを考え抜き、無駄を省いて省いて完成した姿と言うのがいわゆる日本刀の姿、刃文、地鉄だと思うのです。


③物には必ずその形の理由がある

例えば戦闘機

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(画像転載元:https://zatsugaku-mystery.com/jet-fighter-ranking/2/)

最速のスポーツカー

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(画像転載元:https://car-moby.jp/article/entertainment/general-entertainment/fast-car-world-ranking/#TOP100-100km)


どれも如何に速く飛び、その中でコントロールできるかを意識して作られた結果、空気抵抗を受けづらい流線形ありきのフォルムになっています。
そして、他にも美しいフォルムを持っている物は得てして機能美を兼ね備えています。
以下は最速ランニングシューズ。

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(画像転載元:https://www.design365life.jp/0000152130/)


④終わりに

ここからは鍛冶職人でもないただの素人意見ですが。。
例えば、今は焼き入れは1回と言うのが常識ですが、続けて2回焼きを入れてから研いだらどうなるのか?
玉鋼では無く以下の様な様々な鉄鉱石で作るとどうなるのか。

新刀と古刀のちょうど境(1594年頃)を生きた堀川国広は自身が戦っていた経験から、切る事には相当こだわって作刀していた事が想定されますが、
その作風から古刀に繋がるヒントが無いのか、などなど気になる事が沢山あります。

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(最晩年の国広の地鉄)

それ以外にもやはり昔の刀匠は命がけで刀を作っていた事が想定され、その精神性が作刀へ及ぼす作風の変化なども気になります。
これらを現代刀匠さんの中には既に試されている方も沢山いらっしゃると思いますが、そういった情報は調べてもなかなか出てこない為、試された方のブログなどがもしあれば興奮しながら読んでしまいます。

そして個人的には、「明日死ぬ覚悟で、如何に人を殺すかを一番に考えた刀匠」の方が古刀再現を成し遂げるのかなと感じております。
そしてその時本当の迫力と美しさを兼ね備えた刀が出来るのだと…。
…と、素人がかなり偉そうに書いてしまいましたが。。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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