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肥前刀の特異 伊予掾源宗次

こんなにも素晴らしい刀工が新刀に存在したのか?
と度肝を抜かれた今日。
匂口深く躍動感のある乱れ刃を小沸主体で焼いている。
反り深く明るく冴えた刃中には金筋などかかり、刀身表面は地沸で煌めき、繊細な中に覇気を感じる様はさながら古刀のような印象を受けたので、雑筆ながらメモ。
以下は刀剣ワールドさん所蔵の初代の画像。

(画像出典:刀剣ワールド 肥前国住人伊予掾源宗次


・伊予掾源宗次について

佐賀藩の城主である鍋島勝茂に仕え1606年に伊予掾を受領。後に伊予大掾を授与される。
年紀作は1617年(元和3年)から1634年(寛永11年)頃まで存在。
相州風の作柄で肥前忠吉系統とは作風も異なるらしい。確かに刃文の見た目も全く違う。
一説には豊臣秀吉が肥前名古屋城に出陣した際に召し抱えられたとも言われ、その際に正宗写しの作を作り献上。
「本物と見間違える作」と褒めの言葉を賜ったと言われている様子。(参考:日本刀の歴史 新刀編」)
銘の切り方も特徴的で、肥前国忠吉などの肥前刀は普通太刀銘に銘が切られるが、宗次は打刀の銘になるのも特徴。
初代と二代がいる。

・初代と二代の作を拝見して

本日初代と二代を拝見させて頂いたが、初代はいわゆる慶長新刀のような体配で、肌立った地鉄に互の目に丁子風の刃文が混ざる様は一見長義のような印象を個人的に受けたのに対して、二代の作は匂口がとても深く、反り深く明るく冴えた刃中には細かな金筋などかかり、刀身表面は肥前刀のそれと同じように地沸が微塵に付いた事で煌めき、繊細な中に覇気を感じる様はさながら古刀のような印象を受け感動。
恐らく本日拝見させて頂いた作は初代も二代もどちらの作もとても出来が良い物なのだろう。
とにかく茎を隠して見ていると新刀なのか古刀なのかいまいち自信をもって答える事が出来ない、そんな作であった。

そうしてまた古刀と新刀の見極めが困難になったわけではあるが、新刀にこのような作がある事を知れたことはとても良い機会になった。
というのも最近個人的に古刀ばかりに目が移っていて新刀にはあまり興味が湧かない時期が続いていたのだ。
それがこのような作などを拝見させて頂く中で、俄然これらの時代の刀にもまた興味が出てきたように思う。
古刀もまだまだ分からない事だらけであるが、新刀は更に分からない。

そこで参考までに刀屋さんに新刀と古刀だとどちらが鑑定的に難しいか聞いてみた。
すると「新刀だろうね」との事。
やはり古刀の方が個性が強く出る様子。
そこで鑑定上で難しい刀工はいますか?と質問すると「全部だね」との事。

一流店の店主から発せられる重きお言葉…。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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