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清磨が分からない。

源清磨。本名を山浦環。
1835年に23歳に窪田清音(くぼたすがね)という人の支援を受け清音屋敷内で作刀をはじめ、27歳には清音らの援助により四谷見附に鍛冶場を設け独り立ち。
最初は注文が入らず苦労したので、武器講といって1振3両(約52万円)で刀を作り、清音の門人に売るというシステムを清音が提案。
清磨は数を作れて勉強になるし、清音の門人達も数打物でないちゃんとした刀を安く買えるという事で、瞬く間に300両(5200万円)のお金が集まったそうです。
しかし清磨は作刀に手を抜く事が出来ず、目標の100振は何年かかるか分からない状況となりました。
結局清磨は武器講を放り投げて逃亡したとも、清音の計らいで長州に赴いたとも言われています。
長州は左安吉が長州左文字の一派を築いた地でもあり、理由はどうであれ技術の向上には役にたったようです。
そして32歳で清音に詫びを入れて四谷に戻ってきます。
それから42歳で死ぬまで大酒を飲んだりしながら気ままに作刀を続けたらしいですが、製作した刀の評判は極めて高く「四谷正宗」と称賛されて、
水心子正秀や大慶直胤と共に江戸三作に数えられます。
最後は42歳(1854年11月14日)で自刃。

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①日本刀の中で最も値段の高い刀工

清磨の刀と言えば、2尺3寸の定寸で3000万円は超える程の超高額品。
その額があれば号の付いた古名刀も買えてしまう額です。
幕末頃の新々刀でここまで値段が高いのは、他を見ても清磨以外にありません。

②作の出来にばらつきが少ない

これはこの前の展示会に行った際に刀剣店の方が仰っていた事ですが、例えば虎徹なんかは作の出来にばらつきが多く、傑作と呼ばれるものは流石虎徹と言わしめる程のすさまじい出来だそうですが、そうでもない物は他の刀工の方が良いというものも沢山あるらしいです。
しかし清磨は違う。
出来が全て安定しており、どの作も良く出来ているのだとか。

③なぜ高いのか?

よく言われているのは作者自体にストーリーがあるという事。
そして何といっても刀の出来が良い事。
つまり作刀の天才でいて最後は自害、寿命が短く作があまり残されていない(希少性が高い)というのは価値が高まる要因だそうです。
一方で酒におぼれるとか、約束を破るとか人間的にはあまり褒められないようなことも一種の人間味として好まれているのかもしれません。
そして清磨の刀は現在やはりその殆どが納まるところに納まっているようです。
1人で何十振りも持っているコレクターの方もいるようです。


④清磨会というものも

毎年刀剣柴田さん主催のもと、清磨の命日である11/14に墓のある宗福寺にて開催されているそうです。
清磨をはじめ、信秀や清人など清磨一門の作を鑑賞し合い、愛刀家や刀職、刀剣商が繋がり懇親を深めているそうです。
令和元年の時点で72回もの開催となっている歴史のあるイベントだそうです。

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(画像転載元:美術刀剣松本ブログ


⑤終わりに

日本刀の中で一番高い刀工といっても過言でも無いかもしれません。
大刀剣市などでも出品されているのを見たことはありますが、大抵値段表記が無く交渉してくださいとあります。
聞くと大抵3000万円以上。短いものでも2000万円以上。
でも個人的にはなぜそこまで高いのか正直分からない。
その額であれば吉光や正宗、郷といった名刀が買える額です。
ストーリー性で言えば新刀の巨匠、井上真改も53歳で大酒を飲んで井戸に転落して死んだとも言われていますし(真意は不明)、他の刀工にもそれぞれストーリーが沢山あるはずです。(新々刀だから歴史が明確に残っているというのはありそうですが)

作を拝見すると確かに覇気が凄い。
刃は冴えて金筋や砂流しがわんさか入って荒沸が沢山ついて芸術品のようにも見える。それでいて武器なのだからやはり凄い。
そんな印象を受けます。(そういう視点で見てしまっているというのが少なからずあるかもしれない)
新々刀の地鉄の中で正宗のような変幻自在の世界が表現されている。
正宗を写したというよりも清磨という独自の世界を作り上げているという表現の方が合うのかもしれない。
そして清磨を所持すると不思議なようで、清磨の別の刀も何振りも欲しくなるのだとか。
普通は新々刀買ったら次は別の時代の刀工作や、同時代でも別の刀派の刀に行きそうなきもするのですが、清磨は違うらしい。
私は5000万円で刀買えるとなったら号付きの古名刀が欲しいですが、清磨を欲しいという人は沢山いるようで売りに出ても直ぐに売れてしまうのだとか。
そういう意味では日本刀の中では一番資産性が高いかもしれません。
とにもかくにも私が清磨の良さを理解出来るのにはまだまだ時間が必要そうです。

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