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刀も刀装具も値上がり中

刀もしかり刀装具もしかりここ最近やはり確実に値段が上がってきています。大体平均して20%位のようです。勿論円安の影響ですがそれでも値段が上がり美術品としての評価が高まっていく事は刀業界全体としても喜ばしい事でしょう。(個人的に買いづらくなるのは酷ですが…)
価格が上がるという事はそれだけ刀や刀装具が人気になっているという表れであり、所有者が増えて後世に残るものが増える、という事でもありますので。

聞くところによると海外の方が国内の刀剣店を訪れて品物を吟味し買っていく事も最近増えているようで。
お店も良い物だから国内に残したい…なんて流暢な事を言ってられない位に高い額を提示してきたりする事もあるようで、お店側も商売故になかなかこの状況下で断るのが難しく、故に海外に品物が流れるスピードは増加の一歩を辿っていると言えるでしょう。
前々から言っている事ですが、欲しい刀、刀装具がある方は早めに見に行くことを心がけた方が良いかもしれません。(よほどの名品はなかなか国内から出る事はないでしょうが…)

・円安で値上がり?という方へ
3年前の2021年は1ドル=103円位でした。
それが2024年現在は1ドル=157円位です。
3年で1ドルに対して50円程、円の価値が安くなってしまったのですが、これがどういう事かというと、つまりドルを日常で使用している人から見れば円表記の物が33%OFFで買えるようなものです。

分かりやすく例を挙げるならば、ドルを日常使いしている人からすれば、2021年に500万円で売っていた物が、2024年には330万円位に感じるのでそりゃ買うでしょう。
そこでドルを日常使いしている人から見て2021年時と大体同じくらいの値段設定にしようとすると500万円に33%増、つまり660万円位の価格になるわけです。
日本人からすれば3年で160万円も値上がりした感覚ですが、ドル表記にすれば2021年時から変わりません。
これが今起こっている値上がりの現象かと。

ただどの位値段を上げるかなどの方向性はまだお店ごとにまちまちでしょうし、全ての品が均等に値上がりしているわけでもありません。
虎徹や清磨はそれ以上の値上がりをしていますし、全く上がっていない刀や刀装具もあります。
結局最後は需要と供給のバランスになります。
まぁ本来好きで買う物ですし値上がり値下がりという話は個人的にはつまらなく感じますが。

そういえば昨年大刀剣市で結構な値段で勇気を出して刀装具を買いましたが、今だとその値段で買えないと思うのであの時思い切って飛び込んでいてよかったと思います。たぶん買っていなかったら海外の人が買っていたと思いますし、すると5~10年後くらいに円高になったタイミングで買う事もなかなか出来ないでしょうから。
やはり物は欲しいときが買い時なのかもしれません。
私にとっては大層な値段でも、100円位の感覚で出す人は沢山いますし、最近良品が日本から消えるスピードがとても速く感じます。

これから数年かけて日本から良品が出て行ったあと日本で取り扱われる物は質の悪い物ばかりという状況にならないよう、適度に海外から買い戻してくる作業はもしかすると日本の刀剣業界にとって今まで以上に大事になってくるのかもしれませんね。
勿論それをするのは日本のプロ(刀剣店)が中心になるとは思いますが、国内コレクターが海外のお店や海外コレクターから買う事もこれまた買い戻す事に繋がるかと思います。

昨年海外のお店から買い戻した蝦夷目貫


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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