刀箱に貼る反射防止フィルム、候補はいくつかあれど採用までの道のりは長い
現在刀展示ケース「刀箱(漆)」「短刀箱(漆)」には反射を軽減する為の反射防止フィルムの貼付がオプションで可能となっています。
今回はこの反射防止フィルムのクオリティ差についてです。
(↑刀箱 漆)
(↑短刀箱 漆)
①反射防止フィルムを自分で貼るのは困難
一応以前反射防止フィルムの有効性を確認する為に、実験的に自分で貼り合わせて見ました。
四角くなっている箇所が反射防止フィルムを貼った箇所になりますが、かなり反射が抑えられているのが分かります。
これは水で濡らしながら貼るタイプの物ですが、何回かやり慣れたとしても以下のような気泡が必ず少し入ってしまう為、製品に出来るクオリティにはなりません。(光が当たるとこの気泡が目立つ)
②綺麗に貼るには機械が必要
物を作る時に、安定して綺麗に貼れるかという視点も大事になってきます。
フィルムやアクリルの材料費も掛かりますから何度も失敗は出来ません。
安定的に綺麗に貼るにはやはり機械を使い、埃の無い綺麗な部屋で均等に圧を掛けながら貼る必要があります。
しかし機械を使うとなると、それを持っている製造会社を探さないといけない為、一気に難易度とコストが上がります。
また貼る板のサイズも大きくなるほど出来る所が少なくなります。(短刀箱のサイズなら出来ても刀箱のサイズだと出来ないなどの問題も)
更に様々なメーカーの反射防止フィルムが全て機械貼りに対応しているわけではなく、またガラス用とアクリル用というのも分かれていたりします。
(この辺りの差についてはマニアックなので割愛します)
③ようやく機械で貼った2パターンの試作が完成
という中で色々と打ち合わせを重ね、反射防止フィルムを機械を使って安定的に貼った2パターンの試作板が完成しました。
①は丸い部分に反射防止フィルムを貼っています。
②は全面に反射防止フィルムを貼っています。
いずれも同じ色のアクリルに反射防止フィルムを貼っています。
①は透過性が高く反射もせず、アクリルの存在を感じさせません。
まさに理想。
②反射はしづらいですが、全体の色味がフィルムにより白紫のようになってしまいました。また指紋も目立ちます。
以下は貼る前のアクリルと並べたものになります。
この色味の差は致命的で、刀の前にかざすと・・・
めちゃめちゃ安っぽくなってしまいます…
④終わりに
このように反射防止フィルムと銘を打っていても、クオリティ差は実はとても激しい事が分かりました。
刀箱や短刀箱に採用した反射防止フィルムは、言わずもがな①の方です。
以下の記事でも書きましたが、反射防止フィルムは暗い部屋で鑑賞するなら不要と考えます。
あくまで明るい部屋で鑑賞したい場合や反射が気になる方はお勧めします。
機械で貼る都合上、後からやっぱり施工して、という事が出来ませんので、そこだけはご了承ください。
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
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