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#正宗

正宗十哲展で見た「島津正宗」の真相

正宗十哲展で見た「島津正宗」の真相

先日ようやく正宗十哲展を見に行く事が出来ましたが、京極正宗や稲葉郷などはじめ、よくもこれだけの名刀を集めたものだと感心しきりの展示会でした。
その中でも個人的に特に大ニュースというか驚いた点で言えば「島津正宗」の新事実でしょうか。

島津正宗の伝来について刀剣ワールドさんのHPから抜粋すると以下の通り。

この島津正宗は継平押形に掲載されたものと同様物が2014年に見つかった事で、京都国立博物館に

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正宗らしい正宗とは

正宗らしい正宗とは

無銘が大半の正宗において、正宗らしい正宗とは一体どんな正宗を指すのだろうか。
正宗の中でも評価は人により分かれるのかもしれないが、数年前に日刀保の講師の方が城和泉守正宗(正式名称:金象嵌銘城和泉守所持 正宗磨上本阿)は正宗らしい正宗で出来も別格と仰っていたのを思い出す。
城和泉守正宗の地鉄を見ていると、今回の第27回特別重要刀剣指定で正宗に極められた短刀も同じ地鉄をしていたし、以前拝見した重美の正

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名刀正宗の美

名刀正宗の美

鑑賞会や刀屋さんなどで正宗の刀を何度か手に取り拝見させて頂いたことがある。
美しい!とすぐさま感動する正宗もあれば、なんだこれ?と言葉に上手く表せない感想を抱く正宗もあり、なかなかに面白い。
ぱっと見で美しいと思える分かりやすい作は個人的には古備前風のものであるが、個人的に面白く奥深いと感じたのは他の刀工に例えようがない「なんだこれ?」という作。
この両者の作が同じ正宗に極まっている理由というのは

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正宗の「剣」はなぜ存在しないのか?

正宗の「剣」はなぜ存在しないのか?

日本の剣と言えば他国とは違い、実戦で使うものではなく仏教の器として使用されたもので、武士の持ち物ではなく僧侶の持ち物として存在していたといいます。
現在にも名工の作が多く残っている事からも刀同様に大切に残されてきた事は言うまでもありません。

しかしここで一つ疑問が。
それは正宗をはじめ相州伝の剣を見た事が無い、という事。

剣で残っている作と言えば、山城であれば、五条国永や粟田口(吉光とか国吉)

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相州伝は難しい。でも信仰心とまでは行かない気がする。

相州伝は難しい。でも信仰心とまでは行かない気がする。

無銘物の多い相州伝。信仰心と言われるほどの相州伝。
しかし個人的には信仰心とまで行かない位には出来に差がある気がする。

例えば、新藤五国光、行光、正宗、貞宗は基本的に沸の粒がとても小さい。
匂いのような粒感で沸が付いている。

(画像転載元:e国宝 短刀 銘行光)

そして地鉄は水を含んだように潤んでいる。
匂い口も刃境が目立つわけでは無く全体が沸づいているように見える。
(地鉄の潤いはLEDだ

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