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お別れのとき

3日前の金曜日から

あやめちゃんはご飯を
食べなくなりました。

あやめちゃんは17年前に
我が家にやってきました。
17年という月日は、
たくさんの思い出と
深い絆を紡ぐに十分な時間でした。

2年前の秋に足腰が弱り
身動きがままならなくなってきました。
ここ1年ほどは
認知症の傾向が現れ、
食事や身繕いに
私たちの介護が必要になっていました。
でも、だからこそ
あやめちゃんとの間に
愛しいほどの深い関係性が
生まれてもいました。

一週間前の月曜日頃から
食べる量が減ってきてはいたのですが
3日前にまったく食べなくなり
水も飲まなくなった
アヤメチャンは
弱り始めました。

もうどうしてあげることも
出来ません。
ついにお別れの時が
きてしまったようです。


抱っこが大好きだった
あやめちゃんを抱きかかえ
せめて思い出の詰まった
白樺並木やガーデンを
見せてあげようと
戸外に出ました。

あやめちゃんの
大好きだった
北片無去の風景
白樺並木を
何度も何度も
行ったり来たり。

ガーデンでは
あやめちゃんに
話しかけます。
スノードロップが咲いているよ!
ほら!水仙やチューリップの
芽が出ているよ!


戸外へ出ると
所々に雪が残ってはいますが
春の暖かな光に照らされています。
せっかく冬をこえ
春を迎えられたのに・・・

今朝一緒に白樺並木を
歩いた時は
まるで鈴のような
軽やかな声で
コロコロと
喉を鳴らしていました。
そんな声を聞くたびに
涙が滲んできます。

夕方再び白樺並木を
歩いたときには
もう喉を鳴らす元気もなく
時々ヒューという
かすかな声を出すだけになりました。
こんな音を聞くたびに
心が打ちひしがれます。

食べることも
飲むこともしなくなった
あやめちゃんは
急激に衰弱していきます。

そんな姿を見るたびに
悲しみで心が痛みます。


もうあやめちゃんは
長くないでしょう。
ここ一日二日で
あやめちゃんは
いなくなります。

あやめちゃんと
一緒に暮らして17年。
かけがえのない家族です。
あやめちゃんは平均的な
猫の寿命を全うしたはずです。
でも、
それがわかってはいても
覚悟などできるはずがありません。
ただただ深い悲しみを抱えて
オロオロするばかりです。
そんな打ちひしがれる思いが
ウクライナと重なります。


ウクライナでは
たくさんの命が
戦争によって不当に
奪われていきます。

その深い深い深い悲しみは
私の比ではないでしょう。

そしてこの戦争によって
命を奪われた身内の悲しみは
ウクライナの兵士も
ロシアの兵士も
きっと変わらないでしょう。

けれども、
この悲しみは
ロシアの人々が
プーチンを選ばなければ
起こらなかったことでしょう。

あやめちゃんの運命は
変えられないけれど
ウクライナの悲劇は
変えられたのです。

誰を選ぶかによって
私たちの未来は大きく変わります。

プーチンによって
核兵器が抑止力になることへの
正当性が揺らいでいる今

日本でも
敵基地攻撃能力を持つ
軍事費を二倍にする
そんな力が大きくなっていますが
軍事力のさらなる拡大を
生むばかりで決して
平和には結びつかないのに
どうしてそれに気がつかないのでしょうか。

今月は選挙の月です。
誰を選ぶかで
未来は決定的に変わります。

私たちは
誰を選ぶのでしょうか。
私たちは
どんな未来を選ぶのでしょうか。

風前の灯の
あやめちゃんが
命の尊さを
教えてくれました。

あやめちゃんに
恥ずかしくないよう
選択したいです。

あやめちゃん、
ありがとう。


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