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肩関節をみるための肩甲骨オススメ評価3選〜肩インピンジメントについて〜

はじめに

セラピストの皆様が患者を前にして行うことは評価です。

それは、医師が行う解剖学的な疾患や障害の原因を特定するものであるのに対して、疾患や障害によって生じた運動機能障害と活動制限を特定・分類する行為と言われています。

医師との違いは、各々の診断過程ではなく、特定・分類される対象の違いです。

運動機能障害と活動制限は個人差が大きいので、たとえ医師の診断名が同一であっても、我々は各患者の個別性を尊重したものとなります。

我々の評価のキーポイントとなるのは以下の通りです。

①運動機能障害は何か?その原因は何か?
②どの運動機能障害が患者の活動を制限しているのか?
③どの運動機能障害に介入すべきか?
④機能障害・活動制限に影響し得る患者毎の環境・個人因子は何か?
⑤環境・個人因子は可変的か?
⑥評価ラベルは何か?

今回は、これらのうち例えば肩腱板損傷の運動機能障害と関連因子、原因の特定、分類をしていくことになります。

また、その運動機能障害がその患者のどの活動を制限しているのか?いくつかある運動機能障害のうち、どの運動機能障害に介入すべきかを仮説を立て、検証していくことが、我々の仕事になってきます。

肩腱板損傷では、腱板への過度な力学的ストレスが反復して加わると、損傷した腱板への治癒過程を阻害する可能性あります。

腱板に力学的ストレスが加わる要因として肩インピンジメントがあり、

1)肩峰下インピンジメント
2)関節内インピンジメント
3)烏口突起下インピンジメント

上記の3つに分類されます。

腱板損傷

腱板損傷は、断裂を伴わない腱板炎や肩インピンジメント症候群と、断裂を伴う腱板断裂に分けられます。

腱板炎は、内的要因(加齢、構造、血液循環、力学的特性、遺伝子発見など)、外的要因(肩インピンジメント)、または両方の要因によって生じる腱板の炎症です。

腱板断裂は、腱板変性の最終段階とされます。

腱板断裂には、完全断裂と不全断裂に分けられ、不全断裂は(関節方面断裂、滑液包面断裂、腱内断裂)に分かれます。完全断裂は断裂サイズによって分けられ、小断裂、中断裂、大断裂、広範囲断裂に分類されます。

肩峰下インピンジメントでは、烏口肩峰アーチと上腕骨頭との間で腱板が圧迫されます。腱板と烏口肩峰アーチは挙上40~75°で最も接近し、挙上90°までには腱板は烏口肩峰アーチ下を通過します。

よって、挙上90°付近で疼痛が生じた場合は、肩峰下インピンジメントが疑われます。

関節内インピンジメントでは、肩関節外転・外旋位においては棘上筋・棘下筋の関節面側付着部が後上方関節窩へ押し付けられ屈曲位では腱板が前方または上方関節窩へ圧迫されます。

外転・外旋位で肩後方に疼痛が生じた場合や、屈曲90°以上、特に最終域で肩前上方に疼痛が生じた場合は、関節内インピンジメントが疑われます。
烏口突起下インピンジメントでは、肩甲下筋腱が烏口突起と上腕骨小結節の間で挟み込まれます。

烏口突起に圧痛がある場合や、他動的な肩関節屈曲・内転・内旋によって肩前方に疼痛が生じた場合には、烏口突起下インピンジメントが疑われます。

運動機能障害について

1.肩甲上腕関節運動
(1)関節可動域
肩甲上腕関節の内旋または水平内転可動域を制限は、上腕骨頭を関節窩上で前方および上方に位置させ、肩挙上時の烏口肩峰アーチ下での接触圧を高める可能性があります。

肩挙上動作に伴う肩甲上腕関節外旋は、肩峰下面と上腕骨大結節との接触や、上方関節窩と腱板との過度な接触を避けることを可能にしています。

挙上可動域の拡大に先立ち外旋可動域の改善は重要です。

(2)腱板筋の機能低下
上腕骨頭を肩甲骨関節窩へ圧迫する力は、肩甲上腕関節の安定性に寄与します。この圧迫力は、腱板による圧迫力がメインになります。

棘上筋腱の単独損傷では、顕著な上腕骨頭上方移動を引き起こさなかったという報告があり、腱板の中でも棘下筋、肩甲下筋、小円筋の機能が上腕骨頭の求心位保持に重要と言われています。

また、一部の腱板機能の低下は他の筋によって代償が可能という報告もあり、損傷した腱板の同定は有益な情報となります。

さらに腱板機能は肩甲骨運動の影響を受けます腱板の機能評価は肩甲骨運動の評価と合わせて行うと良いでしょう。

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