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BOOKレビュー『自分らしさを見つけて伸ばす 公務員の「強み」の活かし方』

久しぶりのnote更新は、これまた久しぶりの書評です。
今回ご紹介するのは、『自分らしさを見つけて伸ばす 公務員の「強み」の活かし方』(著:齋藤綾治、学陽書房)です。
この書評は、2021年9月7日の都政新報(東京の自治体専門紙)に掲載していただいた寄稿文を基にしたリライト版ですが、このような貴重な機会をくださった著者に改めて感謝申し上げます。かたじけない!

同じ市役所の元先輩

著者は、何を隠そう、私の職場(武蔵野市役所)の元先輩で、かつて私が入庁4~5年目のペーペーの頃に企画調整課で直属の係長としてご指導いただいた方です。
市役所の最上位計画である長期計画(他自治体では総合計画とも呼ばれる)の策定にも共に携わり、これまた尊敬する上司や諸先輩方と熱い議論をする日々の中で、著者には論理的思考のイロハ多面的なものの見方仕事に向き合う姿勢などを教えていただきました。

○ではなく☆を目指しましょう!

かつて著者主催の自主研修に参加した時に、「○ではなく☆を目指しましょう!」と言われてハッとしたのを覚えています。
皆さんも研修やセミナー等で、簡単な20~30問くらいの質問に回答して「判断力5点、分析力3点、協調性8点・・・」みたいな自己分析シートを使ってレーダーチャートを作ったことがあると思います。
その時に、「あぁ、分析力が足りないから鍛えなきゃ」と凹んだところ(苦手)を克服して、少しでもレーダーチャートの形を○に近づけようと考えたことはないでしょうか?

しかし著者は、むしろ膨らんでいるところが強みの原石であり、それに気づいて磨いて育てていくと「あなただけの、あなたらしい☆になります」と教えてくれました。
強みに気づかずにいると、その膨らみを周りに合わせるために凹ませたり(特徴のない〇)、あるいは逆にこだわり過ぎて尖らせたりして近づきにくい存在(トゲトゲしい☆)になってしまいます。
このあたりの説明は、本書の「はじめに」でかわいいイラスト付きで紹介されています。

ちなみに著者は、Gallap認定ストレングスコーチでもあり、ストレングスファインダーによる強みの発見と活用方法もアドバイスしていただきました。
自分の強みを発見したいという方は、ぜひストレングスファインダーもお試しください。

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自分の強みが武器になる

さて本書では、「行動・事実」「感情・想い」「思考・理解」の3つの視点から、自分らしい強みを探り、磨き育て、活かしていくヒントが随所に散りばめられています。
自分の強みが分かると、今までは「なんとなくコレ得意だな」程度に思っていた作業や分野や行動等が、「コレが私の武器だ!」と明確な意思を持ってきます。
すると、苦手な部分はカバーしつつ、どうやって自分の力を発揮できる場面に持っていくか、という先を見据えたストーリーを練ることも可能になってきます。

他人の苦手も許容できるようになってくる

一方で興味深いのは、自分の強みや苦手を受け入れ、許せるようになると、一人ひとりのユニークさに気づき、他人の苦手も許容できるようになってくるという点です。
自分の苦手もストレスですが、複数のメンバーやチームで動く場合は、他人の苦手もストレスになるものです。
自分にとっては、なんてことない仕事なのに「どうしてあの人はあんなに時間がかかるんだろう」と思ったり、逆に「こんなこともできないのか!?」と怒られたりすることありますよね?
自分の強みや苦手に気づいていないと、他人にも自分と同じ結果を求めてしまうので、許容範囲が極端に狭くなってしまうのでしょう。
事実、私もこのことに気づいてからは、あまり他人の言動に一喜一憂することはなくなり、適切な距離を保って少し冷静に見ることができるようになりました。
もちろん神や仏ではないので、感情が揺さぶられることやどうしても許容できないこともありますけどね(苦笑)
とりあえず、瞬間湯沸かし器にはならずに済みます(笑)

複数の☆で補い合って全体で大きな〇になればいい

多様性が求められる現代社会において、他人の苦手も許容できることは大きなアドバンテージだと感じています。
十人十色、千差万別の変化を受け入れなければならない私たち現代人は、ややもすると「私だけが我慢している」とか「自分独りでなんとかしなくちゃいけない」と思い、ストレスばかりが溜まってしまいがちです。
ですが、なにも自分だけで完璧な〇を目指す必要などなく、足りないところは複数の☆で補い合って、全体で大きな〇になればいいと考えると、少しだけストレスからも解放されるような気がしませんか?

自分の強みは誰かの役に立てる

さらに本書の最終章では、「そしてあなたはリーダーになる」「さぁ、後輩を育てよう」と述べられています。
自分の強みを探り、磨き育ててきたその力は、そのまま後輩の育成に活かすことができるのです。
自分の強みや苦手に気づくと、他人の強みや苦手にも気づけるようになり、自分なりにそれらを受け入れ磨いてきた経験や知識から、他人の強みや苦手を受け入れ、活かしたり伸ばしたりしていくことができるようになる。
そして、その他人がまた誰かの強みに気づいて活かしていく・・・、これぞまさに人材育成の好循環!
自分の強みはもはや自分だけのものではなく、誰かの役に立てる素晴らしい強みなのだと、背中を押してもらえました。

自分自身も気づいていない、あなたらしい強みに出会いたい方、おススメですよ。

※ちなみに、下の写真は都政新報に掲載された時のものです。

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