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【クリエイティブ生活】フィクションの男性も『必ず』女性の身体つきを見るのか?【見る・見ない理由】

 Twitterをやっていた時に言われたのが、「男性は必ず女性の顔だけでなく体つきを見る。だから男性受けする小説を書くなら、男性読者から見て違和感がないように、美女の体つきを見るように描写するべきだ」とのことでした。 

 以下に反論を書きます。

 結論から言うと、主人公たちがそれなりに育ちのいい男性で、なおかつ相手の美女が信頼を得たい相手か、戦いの場で敵対している女であるから、男の本能を発揮して体つきを見るのは避けていたのです。

 彼らが相手の美女の身体を見る描写を入れると、はっきり言ってその方が違和感があるでしょうね。

 しかし現在連載中の、こちらの小説では体つきを見る描写を入れました。主人公つまり視点の主が庶民の男性だからです。

 以下にそのシーンがあります。女ヴァンパイアが主人公を誘惑する場面です。


 対するにこちらの小説では、主人公は一国の王子で、身の回りにいる美女は貴族の令嬢です。相手に悟られるように体つきを見るわけにはいきません。


 ちなみに、この『英雄の魔剣』の主人公アレクロスが、もし『暗黒城の城主』の主人公のように艶めかしい女ヴァンパイアに遭遇したらどのように振る舞うのでしょうか?

 以下に書いてみます。

以下、試作

 女ヴァンパイアは嫣然(えんぜん)とした笑みを浮かべ、胸をはだけて誘惑してきた。両の乳房が露わになる。アレクロスは意志の力でそっと胸元から目を逸らし、誘惑をかわそうとする。

 以上です。

 違いがお分かりになりますでしょうか?

 念のために引用します。庶民の主人公ウィルトンの場合は、

 ジュエーヌは笑い続けていた。黒いドレスの胸元に手をやり、肩から引き下ろした。白い胸が露(あら)わになる。黒いドレスの下には、真紅の絹の下着が見えた。レースで縁取りされ、青白い肌を引き立てている。

 裸の胸は、大き過ぎず小さくもない。形はよく、ただ血の気がない肌は青ざめている。

と、なります。


 もう一つ。『英雄の魔剣』の主人公アレクロスが第一公爵家の令嬢サーベラに会った時のシーンです。視点の主はアレクロスです。

 奥の広間に、とても美しい娘がいた。紺色の髪は短く切りそろえられ、象牙色のなめらかな肌の色に映(は)えている。
 髪と同じ色の簡素なドレスを着ていた。幅広のリボンのような帯には、短きワンドが差してある。魔術の力を発動させ、増幅させる物だ。


 これを体つきを見るように書き直してみましょう。

 奥の広間には、公爵令嬢サーベラがいた。相変わらず美しい。すんなりとした体つきを髪と同じ紺色のドレスに包んでいる。

 腰は細く、胸は大き過ぎも小さ過ぎもしない。何もかもが神々の恩寵のごとく均整が取れていた。

 いかがでしょうか?

 もちろん、これでも悪くはないでしょう。でもアレクロスの人となりはけっこう変化してしまいますね。いくらか、ストイックさや令嬢への敬意に欠ける感じになりはしないでしょうか?

 確かに本能のままに体つきを見る方が一般的に言って男性読者からの共感は得られやすいのでしょうけれど、それも時と場合と程度によりけりです。

 そのようなわけで、男性の本能自体は変わらなくても、どの程度本能のままに振る舞うかは現実と同じで、人による、場合によるのですよね。

 ちなみに、『英雄色を好む』と言いますが、そうした本能にとう向き合うかも小説内で書きましたので、ご一読いただければ幸いてす。

 ここまでお読みくださってありがとうございました。あなたのクリエイティブ生活のヒントになれば幸いです。

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