イェイツの詩『妖精の歌』『ビザンティウム』感想
アイルランドに伝わるケルト神話のお話を前回はしました。
アイルランドと言えば、ウィリアム・ロバート・イェイツは有名な詩人です。祖国アイルランドの文芸復興に多大な貢献をした人物で、その活躍も詩作だけでなく多彩でした。
1923年にはノーベル文学賞を受賞、アイルランドの上院議員も6年間務めました。
『黄金の夜明け』なる魔術結社に入っていたのも知られています。
そんなイェイツは様々な詩を残しましたが、以下にご紹介するのは、素朴な妖精の詩です。
スマートフォンでは少し読みづらいかも知れませんが、数千年を生きる妖精が、人間の子どもに祝福を送る場面が描かれています。
数千年を生きる妖精は、それだけで神秘的な存在です。彼らは人間をどう見ているのでしょうか。そんな想像をさせてくれます。
イェイツは他にも、美しく幻想的な詩を残しています。
岩波文庫『イギリス名詩選』に載せられている『ビザンティウム』は、アイルランドから遠く離れた地を舞台にしています。
今のコンスタンティノープルがビザンティンと呼ばれていた時代の栄華を描いたものです。
夜、寝静まった宮殿を歩く木乃伊(ミイラ)や、永遠に生きる黄金の鳥、海豚(いるか)に乗って炎の中に飛び込んでゆく人間の魂、などが書かれています。
脚注によれば、イェイツ晩年の詩で、永遠というものを考えるようになったのが表現されているそうです。
永遠と思えるものと、はかなき人間の命、がこの詩のテーマなのでしょうね。
ただ、何が象徴や隠喩として書かれているかを考えなくとも、この幻想的なビザンティンの宮殿の様子を思い描いてみるのも良いですね。
ずっと読んでいると、一つのストーリーが思い浮かんできます。
華美なほど華やかな詩も、リンク先のように素朴な詩も、共にイェイツの脳裏にあった心象風景なのでしょうね。
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