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第四回「イタリアのHipHop その①」

こんにちは。連休も終わりあわただしい日常が帰ってきました。私です。日本ではあまり馴染みのないイタリアのHipHopのご紹介です。前のドイツのHipHop紹介と同じように自分用のメモ的な意味合いもあります。

イタリアのHipHopは1980年代からはじまります。アメリカではOld SchoolとNew Schoolの転換期、黄金時代。活動の拠点、震源地となったのは80年代末にイタリア各地で作られた「Centro sociale(社会コミュニティセンター)」です。国と対立していたり非合法で人々が集まりアートや文化的な活動をしていた空間です。そんなエネルギー溢れる場所から生まれたグループ、曲を紹介いたします。ポッセという言葉が出てきますがPosse=HipHopの活動をするグループという意味です。では、いってみましょ。

Radical Stuff
1987年に活動を開始した最古のイタリアHipHopグループ(と言われている)超重要人物DJ Gruffが中心となり活動。歌詞は英語。

「Get down」



Onda Rossa Posse(オンダ ロッサ ポッセ)
イタリア国内のPolitical Hip Hop(政治的意味合いを持つ)の元祖ともいえる。Onda=波、Rossa=赤 うん、わかりやすい。ローマのラジオ局Radio Onda Rossa(国から監視対象になっていた過激派)との結びつきも強い。解体後は2つのポッセにわかれます。

「Batti il tuo tempo」HipHopに同じく流行っていたレゲエの要素が入っている名曲。



Assali Frontali(アサリ フロンターリ)
Onda Rossa Posse解体後にMilitant Aが結成したポッセ。初期は政治的作風が残る。湾岸戦争に反対した曲で存在感を増しました。素晴らしい事に現在も活動中。

「Terra di nessuno」

「SIMONETTA」Filippo Andreaniと。Militant Aは声が良いですね。



AK47
Onda Rossa PosseメンバーCastroXが結成したもう一つのポッセ。一度解散しますが再度活動を開始しています。

「Niente da festeggiare」アメリカ批判的な意味の歌詞。

「0516490872」アメリカで23年間服役したイタリアの活動家Silvia Baraldiniの支援運動の一環として作られた曲。



99 Posse
ナポリ出身。イタリア語、ナポリ語でラップをします。イタリアHipHopの特徴の1つである「地方性」が強く出ています。みんな地元愛が強いんですね。レゲエの要素が強めなグループです。

「O' Documento」

「Tarantelle pe' campa'」大好きなCaparezzaとのコラボ。



Isola Posse All Stars(イゾラ ポッセ オールスターズ)
ボローニャのコミュニティセンターから生まれたポッセ。Banda della Uno bianca(白いギャング)という犯罪組織が起こした事件をテーマにした「Stop al panico!」で有名に。重要人物DJ Gruffも参加していました。

「Stop al panico!」

「Passaparola」AvanziというTV番組でも紹介され知名度が上がった曲。



Sangue Misto(サングエ ミスト)
上記Isola Posse All Starsの解散後に結成されたグループ。名盤と言われるアルバム「SXM」1枚で解散。DJ Gruff、Neffa、Dedaらが参加。

「Senti Come Suona」

「Clima di Tensione」



Frankie hi-nrg mc(フランキー ハイ エヌアールジー エムシー)
眼鏡がトレードマーク。自分は彼からイタリアHipHopにハマりました。トリノ生まれシチリア育ち。Run-D.M.C.、Beastie Boysとも共演経験あり。紹介曲が多いのはごめんなさい。好きなもんで。

「Fight da Faida」汚職、癒着をテーマにして大問題になった。名曲。

「Quelli Che Benpensano」

「Pugni In Tasca」

「Rivoluzione」

「L'ovvio」



Articolo 31(アルティコロ トレントゥーノ)
ミラノ出身の2人組。メンバーは髭がトレードマークのJ-Ax(世界的に有名ですね)とDJ Jad。グループとしては活動中止状態ですがソロで活躍中。政治批判的な内容は薄め。

「La Rinascita」

「Senza Regole」



Lou X(ルー イクス)
Assali Frontaliともコラボした独自の空気感を持っているラッパー。1995年発売の2枚目のアルバム「A volte ritorno」は名盤です。

「Il Vero Nemico」

「La Raje」

2004年ボローニャでAssali Frontaliとコラボ。



Kaos one(カオス ワン)
Kaosのみの表記もあり。初期は英語で後にイタリア語で歌い始める。DJ Gruffとグループ活動(Fresh Press Crew/Radical Stuff)を行っていたがソロ化。

「Quando vengo a prenderti」ストⅡのSEが使われています

「Il Sesto Senso」後に紹介する(と思う)グループClub Dogoと。


Otierre(オティエーレ)
OTR表記の場合もあり。MCのESA、Polare。DJのVigor(前期)Skizo(後期)で編成される。ESAはEl Presidenteという名義でも活躍。DJ Skizoも重要人物です。

「Quando meno te l'aspetti」

「Play your position」



Gente Guasta(ジェンテ グアスタ)
El Presidente名義のESAとPolareのプロジェクト。Gente Guasta=ダメな人(不良)たち、どういう名前だよ

「SINTONIZZATI」

「La macchina del Funk」DJ Skizoも参加。



Fabri Fibra(ファブリ フィブラ)
1995年にDJ Latoと共にUomini di Mareというグループで活躍したラッパー。ソロ活動の方が有名かもしれない。現在も精力的に活動中。

「Da Che Mondo è Mondo」

「Speak English」

「Applausi Per Fibra」すしバー。

「Incomprensioni」



Piotta(ピオッタ)
ローマ生まれ。トレードマークのレンズが丸い眼鏡が名前の由来で、100リラ硬貨の事をローマの方言でPiottaと呼ぶ所から来ています。

「Dimmi Qual' è Il Nome」やっすいPVが良い。

「Supercafone」

「TROPPO AVANT」PVが滅茶苦茶で好き。



Caparezza(カパレッツァ)
Caparezzaは彼の出身地プーリア地方でもじゃもじゃ頭という意味です。カストロカーロ音楽祭に参加、Mikimixと言う名前で(この時はもじゃもじゃじゃなかった)デビューします。インタビューではフランク・ザッパ愛を語っており髪型にも納得しました。不可知論者でイタリア美術についての曲を作るなど琴線に触れまくりで大好きです。

「Jodellavitanonhocapitouncazzo」

「Nessuna Razza」

「GOODBYE MALINCONIA」スパンダー・バレエのトニー・ハドリーとの共演にびっくり。

「Capra」Two Fingerzの曲にコラボ出演。

「TESTE DI MODI' 」

「COME PRIPYAT」


ここまでが自分の好きな80~90年代のイタリアHipHopの紹介でした。(Caparezzaは最近の楽曲が多くなりましたが…)まだまだ沢山いるのですが長くなってしまうので今回はここまでにします。
Club Dogo(Don Joe)、Marracash、Emis Killaなどなど、続きもいつか書きます!

最初期のイタリアHipHopについてはRolling Stone誌(イタリア語版)でもまとめられています。こちらも是非。


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