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【後編】『やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方』発売記念:吉武麻子さん(タイムコーディネーター)&松田紀子(はちみつコミックエッセイ)対談

ーー4月に発売された『やりたいことがどんどん叶う!自分時間割の作り方』の監修を担当してくださった吉武麻子さんと、毎日大忙しでくたくたな編集部の松田が「有意義な時間のつかいかたについて」教えを乞う対談記事後編をお送りします。時間の使い方って話せば話すほど盛り上がりますよね~。
(文責:松田紀子)


プロフィール


タイムコーディネーター 吉武麻子

タイムコーディネーター 吉武麻子
TIME COORDINATE 株式会社代表。
大学卒業後、旅行会社勤務・韓国留学などを経て独立。
キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていくオリジナルのタイムコーディネート術を考案し、のべ3000名以上に指南。手帳の製作販売も行う。
著書『目標や夢が達成できる1年・1ヵ月・1週間・1日の時間術』(かんき出版)。
神奈川県出身、2児の母。

X:@time_coordinate

Instagram:@time.coordinate
HP:https:// time-coordinate.com/


はちみつコミックエッセイ編集長 松田紀子

はちみつコミックエッセイ編集長 松田紀子
メディアファクトリー→KADOKAWAでコミックエッセイや生活情報誌編集長を経験後、2019年(株)ファンベースカンパニー入社。現在、「はちみつコミックエッセイ」編集長兼務。コミックエッセイ描き方講座も主催してます。


▶「緊急じゃないけど重要なこと」を先に進める

(松田)
吉武さん、一つ伺いたいことがあります。人それぞれ、時間をすごく溶かしてしまうみたいなことがあると思うんです。ずっとスマホを見ちゃうとか、ずっとゲームやっちゃうとか。
時間を溶かす自分を止められる、そういうポイントとかコツってありますか?

(吉武)
そうですね、何するわけでもないけどダラダラしちゃうっていうのは、結局、「4象限の緊急度と重要度」で話すと「緊急で重要なこと」をやってる時間が長ければ長いほど、心理的にも頭的、身体的にもすごく集中しているので、 疲れの反動で「緊急でもない重要でもない」ダラダラ時間が長くなってしまうんです。
「今私、すごく時間溶かしてるな」って思ったら、逆に他の時間に追われてないか、振り返ってみてください。
そこが一致すると、緊急になる前に前倒しで第2領域の「緊急じゃないけど重要なこと」を先に進めていくのが大事だという風にとらえなおす。

そういう長期視点にしていただけると、時間を溶かすことを回避する効果があるんです。

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P45 より

(松田)
なるほど、ダラダラ時間は、結局心をそこに開放させないと、もう身が持たない合図なんですね。

(吉武)
そうです。
今相当頑張ってるんだっていう風に気づいてほしい。

だからこそ、タスク自体を減らしていくということも大事ですし、今頑張り時だったら、もうちょっとしたらもっと緩いスケジュールにするだとか、広い視野で見ていくことが大事ですし効果的です。

でも、今っていうところでいくと、自分が心地いいなと思うことを、1日5分、10分でもいいから、ダラダラ時間の前に取るということだったり。あとはもう寝ることですね。寝たらそのダラダラ時間がむしろ睡眠時間としてプラスになりますよ。体も心もリセットされていくので。

(松田)
そうですね。自分が夜スマホ片手にしていて、これ1時間ぐらいダラつくなって思ったら、 もう寝ちゃう。睡眠時間1時間増やす。
本当にみんな朝から晩までクッタクタだから、ボーッと画面を見つめていたい気持ちは、確かにありますよね。

(吉武)
本当にそうなんですよ。だから、それがサインだと自覚していただければいいかなと思います。


▶タイムコーディネートは時間を通して自分と向き合うツール

(松田)
自分の時間の使い方を客観視していないと、タイムコーディネートまでたどりつけない気がしますね…。

(吉武)
いわゆるタイムマネージメントとタイムコーディネートの違いっていうのは、 自分を日頃から客観視してるかっていうとこも大事なんですけど、自分の時間の使い方を振り返って、時間を通して自分と向き合うツールだということなんですね。
時間の使い方を客観的に意識することによって、自分の心地良さとは何かを問われるわけじゃないですか。

直接的に自分と向き合おうとすると、なかなか答えが出てこなかったりするんですけど、時間を使ったときの感覚が快だったか不快だったかの答え合わせは、自分を知る紐解き、謎解きにもなっていくんですよね。客観的に自分とも向き合えるのがタイムコーディネートかなと思っていて。

(漫画を描いてくれた)はるさんが「時間の使い方を通じて、自分が我慢すればいいと思ってたことをもう我慢をしないという風に考えた」とおっしゃっていて。それはいい意味で、今まで蓋をして自分に向けてこなかった矢印を向けられるようになるっていう部分もあるかなと思います。日頃から自分と向き合うのが苦手な人には良い手段だと感じますね。

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P148 より

(松田)
なるほど。自分を客観視することって、大人になってからじゃないと難しい気もしますが。

(吉武)
実はそこに私のタイムコーディネートの原点があって。
私、中学生の時から手帳を使っていたんです。
でも、別にその時代って部活か塾以外には特にスケジュールがないじゃないですか。スペースがあまるのももったいないので、代わりに「今日楽しかったことベスト3」を書いてたんです。

(松田)
かわいい!

(吉武)
バスケ部だったので「シュートが決まってすごい嬉しかった」とか、「廊下で好きな先輩に会えてドキドキした」「唐揚げがお弁当に入ってて嬉しかった」とか。テレビ番組『夜もヒッパレ』が大好きだったので「録画していた夜のヒッパレを見よう」だったり、自分の好きなことで時間を埋めていくことを意識できたのが、その「楽しいことベスト3」を書き出していくっていうことだったんです。

中学生って多感な時で、友人関係も意図せず傷つき傷つけ合いみたいなところがあるじゃないですが。おそらく、感情的に揺さぶられるのがすごく嫌だったんだと思うんです。それを自分の好きなことで時間をリカバーしていくのを、無意識でやっていたんですよね。
これがやっぱり私の原点で、今、大人の方にもタイムコーディネートやる時には「5分10分でも、自分が楽しいことに時間を使いましょう」と伝えているんです。
 
「ワクワクリスト」とか「やりたいことリスト」だと、やったことないことを考えて書き出すじゃないですか。じゃなくて、「やったことに対してどう感じたか」で、楽しいことリストを集めていきましょうっていうことが大事なんですよね。
そうすると間接的に自分が好きなことに向き合ってるので。

 (松田)
手帳好きは時間整理好き、絵を描くことが好き、読書好きとかとニアリーイコールなんですよね。アウトプットする先が手帳で、それを見てまた刺激を受けて本を読んだりとか、 自分の何かを出していくっていうのがうまくループできている感じはしますね。

(吉武)
そうですね。自分と向き合うツールって色々あると思うんですけど、「私はこれがやりたいんだ」が見つかって、満足して終わってしまってる人もすごく多いなと思います。
実際に実現していなかったりとか、行動が続かなくなってしまってる人が多い。それがすごくもったいないなと。

やりたいことや心地よさ、みたいなふわっとした感覚的なものを、実現していくための計画の立て方と組み合わせることで、自分のありたい未来を実現できるんですね。どっちかだけだと、ふわっとしたまま終わっちゃう。両方をやるということが私はすごく重要だと思っていて。それをノートでも手帳でもどのツールでもいいんですけど、実行に移していくことが非常に重要だなと思います。

(松田)
実行してわかることと、頭の中でイメージでふわふわと描いて終わることとは、本当全然違いますよね。実行して初めて「こうだったのか」「思ったのと違った」「思ったより全然素晴らしかった」ですし。本当に私、人間の基本は行動だと思ってるんですけど。行動しないとその手触りも永遠にわからない。

(吉武)
わかります!考えて考えて、結局動いてない人を見ると、「動いてみた方が断然わかるよ!」って。

(松田)
きっと吉武さんはタイムコーディネートのお話もいっぱいされてるから、実行に移す話もすごく皆さん聞きたがる方多いと思うんですけど、「で、やったの?」って聞いたら、「いや、やってない」という方も多そうです。

(吉武)
そうですね。逆に頑張り屋さんが詰め込みすぎで動いちゃって、わけがわからなくなってるっていう人も多いので、自分の心地良さを軸に置こうねと伝える場合もあります。考えるだけ考えてて動けてない人は動こうねってお伝えしますし、どっちもすごく大事だなと思いますね。


▶先立って予約することはメリットしかない!

(松田)
ここからは、本書からいくつか拾ってお聞きしたいと思います。吉武さんは美容院を1年先の分まで予約してるということで「画期的!」と思ったんですけれども、他にも1年分先立って予約してることってありますか?

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P39 より

(吉武)
さすがに美容院で1年間分はすごいと思うんですけど(笑)。
私が通ってる美容院は個人経営をされてる方で、他のお客様も皆さん1年間分予約を取っていくんですよ。
そうすると行ける日がなくなっちゃうので、致し方なく1年間分取ってるんですね。

多分一般の美容院だとそれは難しいと思うので、せめて次の予約は取っていくことがすごく大事だと思うんです。私も定期検診や歯医者さんとか、定期的な病院とかは、必ず半年後の予約を取っていくっていうのやっていますし、それこそ今研修の仕事もしてるんですけど、もう来年の研修が何日かみたいな話になってるんですね。そういう予定を見て、その先も取っておいて、何かあった時に変更はできますし。3か月前、4か月前には学校のスケジュールは分かるので、3ヶ月前とかの変更であればそんなに迷惑じゃないと思います。

(松田)
そうですよね。先に予約をとっておけばあとからの予定も「そこは用事が入ってます」って言えますし。美容院1年分とは言わないですけど、割と先のこととか。大好きな追っかけてるライブとか、今申し込まないと取れないから、「ここにライブがあるから、ここは打ち合わせは入れられない」みたいな感じで避けていけばいいんだって。ギリギリまでやらなかったら飛行機も高くなっちゃうしもったいない! というのはありますね。

(吉武)
決めた方がよっぽど生きやすい。不透明なままモヤっとした霧を進むよりも、明確な次の地点が見える方が行動はしやすいし、時間も見やすいし、調整しやすいしで、メリットしかないんです。

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P42 より

▶自分が動かなくなるパターンを想定してスケジュールを組む

(松田)
もう1つ、64ページに「その時間を何に使うか具体的に決めることです」っていう風におっしゃってるんですけども、この「何に使うかを具体的に決める」っていう方法を、もうちょっとお聞きしたいです。

漫画の中では、はるさんがざっくりと「仕事したい」という欲望の中で、中身が決まってなかったっていう話だと思うんですけど、 具体的に決めるっていうのが、 例えば他にどういう風な方法があるのかなっていうのを伺いたいなと思いました。

(吉武)
そうですね。例えば、主婦の方のご相談で、午前中子供が学校に行ってる間は自由だからこそ逆に時間がなくなるっていうご相談があったんですよ。

例えば、 8時から15時までだと7時間空いてますよね。
家事は7時間もかからないから余裕があるはずなのに、テレビ見始めちゃってとか、午前中に買い物行こうと思ったら宅急便が来て行けなくなって、みたいな感じで流されてると、いくら時間があっても足りなくなっていく。
分単位で決める必要はないんですけど、洗濯したら次掃除するとか、午前中のうちに買い物に行くとか、どこに何を入れるのが自分が動きやすいかと、逆に自分が動かなくなる、めんどくさくなるパターンってどんな感じなんだろうっていう風に考えていくと、動きやすくなっていくっていうのがありますね。

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P64 より

私の例でいくと、ピラティスに通いたくて、だけどなかなか通えなかった。それは私もめんどくさがりで出不精なので、誰かと約束がないと基本的に外に出ないんです。

一旦子供たちを保育園に送っていって、家に帰ってきちゃうと私はもう外に出ないんだなっていうパターンがわかった。
なので、もう「子供を送ったその足でピラティス行こう!」って思ったんですね。だけど、8時からは開いてなくて10時オープンだったんです。
じゃあ、午前中だったらちょうどカフェ空いてるし、「一仕事終えて集中力が切れたらピラティスに行こう」って感じにしたら、仕事もスムーズにいくしピラティスも行ける。みたいな感じで、ゴールデンルーティーンができていったんですね。なので、自分が動かなくなるパターンを想定してそれを潰していく。「この時間にこれをセットしてこれをやればいいんだ」っていうのが決まっていると、動き出すとそのままスムーズに何やるかが決まってなくても動いたりするんで、やっぱり最初の出だしだけでも何をするかっていうのが決まっていると動けるかなと。

(松田)
なるほど。すごくわかりやすかったです!この2時間をカフェで繋いでいけば、なんと午前中には仕事も一段落してピラティスにも行けてるって、もう爆上がりですよね。

(吉武)
そうなんです。手帳上だけで向き合ってると、パズルみたいに「こうしたらもう理想だ」みたいな感じになっちゃうので、それを実際に自分が動いてる姿をちゃんと思い浮かべながら計画する。
ランニングやウォーキングに行くにしても「雨降ったら行かなくなるよね、自分」っていうのがわかるから、じゃあどうするかって決めとかないとダラ〜っと過ごすことになっちゃう。

自分が動かなくなるだろうパターンを想定してスケジュールを組んでいくと、動きやすくなります。

(松田)
いくつか自分の中でゴールデンルーティーンセットが1日2つか3つできたら、もう十分幸せじゃないですか。

(吉武)
そうですね、それで動くようになるので。

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P69 より


▶手帳を使って鍛える「虫の目」「鳥の目」

(松田)
ありがとうございます。

最後に、本には書かなかった細かい技などありますか?

自分の時間を有効に使うための技でもいいし、思考法でもいいし、お仕事の中で皆さんにおっしゃってることで、「あ、それすごい知りたかった!」ってよく言われるようなお話とか。

(吉武)
そうですね、私が運営しているタイムコーディネート手帳のお客様の声として、「手帳が1年続いたことがない」っていう方が多いんですよね。で、使い終わった後に「初めて1年手帳が続いた」っていうお声もすごく多いんです。

手帳に書き込むことが目的になっていると、完全に埋めるとか、しっかり毎日振り返りして予定書いて、というところがゴールになってしまうんですけど、手帳の目的ってそこじゃないと思っていて。

自分の時間を見える化する客観視したりだったり、「未来にこうありたいから今これをする」っという逆算を考えたり、視野が狭くも広くも見れるし、気持ちのところも見れるし、計画も見れるしっていうところがアナログの手帳の良さだと思うんですね。
なので、「書くこと」よりも「見ること」ができていて、「今の自分の現在地」っていうのがわかればオッケーなんです。
 
手帳を書くことが目的になって結果的に時間に追われることになってしまったら本末転倒なので、目的としては自分が時間と仲良くなって、時間を見通せるようになること。そうすると具体的に自分のありたい未来に向かって今何するかが見えてくるから、行動もしっかり進めていける。それが目的なので、見通せていれば別に書いてなくたっていいんですね。

なので、手帳をすごい重苦しいものとも思ってほしくないですし、「なんか書かなきゃ」じゃなくて「見るものだ」っていう風にも思ってほしい。時間をうまく使わなきゃっていう意識より、時間を見通せたら絶対うまく使えるようになっていくので、そちらの方に力を入れてほしいなって思います。概念の転換というところでそれは1つありますね。

(松田)
見通しする力は、短期スパン、長期スパンでとらえたり、日々の5分間、10分間の楽しさを積み重ねていくことで自然と身についていくものなんですか?

(吉武)
そうですね。意識としては、虫の目と鳥の目みたいな感じ。
目標に向かって、とかやりたいことが見つかると、皆さん近視眼的になって「これは今日やるタスク」みたいになって、苦しくなってる人も多いんですね。だけど、そもそも今これやってる意味って何の目的だっけ?というところを、たまに鳥の目になって、そうそう、この目的のために今これやってるんだよねってとらえなおしてほしいです。ここが紐づいていると、いま淡々とやることがきついなって思っても、そこに繋がるんだって思えるとやっぱり頑張れる。

時間に追われてる感覚があるなって思った時に、「3ヶ月先にどこまで行くのがゴールだったんだっけ」っというのをもう1回見直して、軌道修正したり。人って近視眼になってしまうので、そうなってる自分を自覚して鳥の目を思い出せるように、訓練していけばできるかなと思いますね。

(松田)
すごく近いところで見る「虫の目」と、俯瞰で見る「鳥の目」ですよね。それを自分の中で縮小したり拡大したりを続けることで、1年やってみたらそれが3年後、5年後まで見通す力になっていくっていうのは私も実感があるので非常によく分かる気がします。

やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方 P113 より

(吉武)
この行ったり来たりっていうのはリーダー層も必要なスキルだと思うんですよ。
自分の人生にとってもすごく豊かになるだろうし、家庭の子育てにおいても。

(松田)
自分自身も楽になりますよね。

(吉武)
これってあらゆる面ですごく大事なスキル。
それが手帳を使ってできるっていうのは、とても身近にできる鍛え方かなと思っています。

(松田)
ありがとうございます。もう私、個人的にいろんな学びをいただきました。
やはり時間をうまく味方につけて、より楽しい人生にしていきたいと心から感じました。


ーー吉武さん、ありがとうございました!



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