見出し画像

【詩】背中のむこう

真一文字の水平線に
しろいネコが 浮かんでいる
波のひだを 見おろして
日ざしを 浴びている

とおい空のむこうから
風は絶え間なくおし寄せる
たどりついた岸辺に
砕けて 力つきて

ネコは 薄目をあけて
寝ころんで 眺めている
地球が 本当に まるいのなら
みつめているのは 自分の背中だ

ネコは 風にうずくまり
水面と宇宙の 深々としたすき間に
突き抜ける 紺碧を見すえている
肩に担ぐ 奈落に浮かんだ
しろい 瀑布の先を

©2024  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。