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【詩】空色

稲穂の波の、海のうえを
トンボの群れが、飛んでいる
悠々と、風を泳いで
たいらな眺めを、見おろしている
おびただしい、バッタたちが
足もとを、跳ねて散る

トンボは、空の真ん中にいて
羽音もなく、宙に浮いて
風のつよさを、みつめている
バッタは、空のひろさを知ることなく
山のたかさを、見ることもない
雲のかたちを眺めているのは、人だけだ
重なりのむこうの、虚無をみつめて
空はあおい、と信じている

雲が、通りがかりに問いかける
世界は、本当にまるいのか
なぜ、夕暮れはあかいのだろう
トンボの空は、なに色なのか

©2023  Hiroshi Kasumi


お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。