見出し画像

【詩】なまず

足の裏を 叩いている
いくつもの 拳が押している
柱が軋み ガラスが震えて
慌ただしい 波に弾んで
背中に乗って 揺すられている

狭いすき間を 無理やり
こぶのうねりが 抜けていく
大地は唸り 悲鳴をあげる
立ち木も並木も 跳ねて踊って
人はただ成り行きに うずくまり
こわばり 祈りにすがるばかり

なまずの巣穴を 無数に追いかけ
いつとも知れない 見込みを唱える
怯えは制圧に都合がよい
備えよ、つき従え
こころを叩く 声が聞こえる
警戒せよ、覚悟せよ
のせられて 揺すられている

©2024 Hiroshi Kasumi


お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。