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【詩】宮崎にて

ひなたの日差しは、とてつもなく眩しい
伸び盛りの草は、色濃く目に鮮やかだ
空港のブーゲンビリアの赤い花が
やわらかく、揺れている
神宮の夏越の祓の茅の輪くぐりが
しめやかに、佇んでいる
 
日向の国、宮崎
ここは、古来の神々が宿す
神話と信仰のふるさとだ
山の深い起伏と、蒼く見わたす海原の
神秘の眺めに、心をすまして
人は、つかの間のくつろぎと
豊かな実りにあこがれて
見知らぬ古址をおとずれる
 
旅人は、日向かう大地で
晴れ渡る空を見あげて
はばたこうとする、高天原へ
見晴るかす雲海、遥かに
湧きあがる、悠久の眺めに
照らし出す、八百万は
海あり、山ありだ
 
たとえば、青島、鬼の洗濯岩
寄せては返す白波に、足を洗われて
たとえば、高千穂、天の岩戸
吹きわたる森の息吹に、耳を澄まして
 
山は海に、風を吹き下ろす
海は山に、波を打ち寄せる
山と海との静かな対話
人はただ、目を瞠り
波打ち際を旅するばかりだ
 
ワシントンパームの並木道
沿道に咲くハマユウの花
ざわめきたてる潮騒の声
ひなたの眺めは、とてつもなく眩しい

© 2022  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。