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【詩】春告鳥

川辺の竹藪で、鶯が啼いている
冬が迫る霜月に、清らな春の聲を聞く
風にたなびく芒の穂が
河原に響く囀りに、忙しなく首を振る

川面は燦然と耀いて
土手を走る風はあたたかい
空は広々と晴れわたり
燦々と陽射しが降り注ぐ
羽ばたく大地は、まだ暑い
籠りの期限も遠かろう
楽しもう、心の儘に
冬の支度を、しばし忘れて

君は、季節の支配を逃れて
朗らかに、自由を歌っている
淀みのない、歓びに満ちている
わたしは、小さな命が犯した
大胆な逸脱に、固唾をのんで
じっと、耳をすましていた


©2022  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。