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【詩】引力

水平線のむこうから
海の吐息が押し寄せてくる
その背中に、しずかに浮かんだ
船の影が、はこばれてゆく

潮の流れのはげしさを
しばし忘れて
滑るように、引かれてゆく
海のあおさと、風の冷たさと
陽の熱にさらされて

汐は月にみちびかれ
満ち干を重ねているという
瞳にあふれる涙は
星がたぐっているのだろうか

岸に砕ける慟哭が
とめどなく、叫びを繰り返す
力まかせに叩くたび
千のしぶきを、空に散らして

©2024  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。