見出し画像

【詩】予感(春)

突堤で 川面をみつめている
尾を振り 首をかしげて
水の行くえを 追っている

昼は 日に日に歩をひろげ
枯れた土手が 萌えて
人知れず ちいさな花が
黙って 揺れている

空は ぬくみを抱えて
風の背中に 追いすがる
ふり注ぐ 眩しさと
こみ上げる 高鳴りに
濡れた産毛を 羽ばたいて

華奢な踵で 伸びをする
揺らぐ水面に 目をこらす
波紋が 雲を追いかけていく
声が もやを散らして
あおい空に 突きぬけていく

©2024  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。