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20~40代へ向けて、遺言のすすめ

こんにちは。

私に簡裁代理業務を教えてくださった師匠で、司法書士の太田垣章子先生が新しく本を出版されました。

「あなたが独りで倒れて困ること」(株式会社ポプラ社発行)

難しい法律用語などはなく、大変わかりやすい言葉でまとめられていますので誰でもすらすらと読めると思います。

終活というと70代くらいになってそろそろ取り組もうかな、という方が多い印象ですが、それでは時既に遅し…となり得る場面を30個、具体的に解説してくれていますのでご興味がある方は是非。

さて、突然ですがブログタイトルにあるとおり、20~40代へ向けて、遺言作成をおすすめしたいと思います。

太田垣先生の書籍の中でも言及があるのですが、まず「未成年の子供をもつ親御様」について考えていきたいと思います。

未成年の子供をもつ親御様

この年代はまだまだ遺言は無縁と考えていらっしゃることと思います。

でもこの親御様にもしものことがあったら、その相続人は「配偶者」と「未成年の子供」です。

未成年の子供は単独で遺産分割協議ができません。

どの財産をどの程度相続したらよいか、はたまた相続を放棄すべきか判断できる能力がない(と法律上は線引きされる)からです。

そこで子供たちに代理人をつけます。

ただし「配偶者」は利益相反になるので代理人になることができません。

そこで家庭裁判所に申立てを行い「特別代理人」という人を選任します。

特別代理人として、専門職を選任してしまうと報酬がかかりますので、親族がなることが一般的です。

親族というのは、(子供からみて)祖父母とか叔父叔母とかを選任することが多いです。

普段から関りが密なご家族なら問題ないかもしれませんが、色々なご家庭がございますので、配偶者の死亡に加えて普段あまり話さないご親族へお願い事をするのは、ストレスになる方もいらっしゃるかもしれません。

また、遺産分割協議をするので、遺産の全てを明らかにしなければなりません。よく話をする間柄だったとしても、プライベートな情報を知られることに抵抗がある人もいらっしゃるかもしれません。

その他にも、残された配偶者の多くは働き盛りであり、まずは独りで働いていかなければなりませんから、単純に忙しい。

こんな時に遺言があれば。

そもそも遺産分割協議をする必要がなくなります。執行するだけ。

遺言を残してあげることで残された家族がどんなに楽になるかと思います。

子供がいないご夫婦

では子供がいなければ手続きが簡単かというとそういうわけにもいきません。

子供がいない場合、次の順位の相続人に相続権があります。

次の順位というのは被相続人の「父・母」です。

残された配偶者は、妻又は夫の両親と遺産分割協議をしなければなりません。

当事者の感情は大変複雑です。

お互いに罪はないのに責めずにはいられなかったり、些細な言葉で傷ついたり、悲しみをどう収拾したらよいのかわからず、普段とらないような行動をしてしまったりするかもしれません。

妻又は夫が存命中は優しかった義両親でも、亡くなってからは別人のように冷淡に、多額の財産を要求されたという妻側の話もきいたことがあります。

私の話をすると、幸運にも私は義母に大変助けられました。また、亡くなった元夫が保険に入っており偶然にも備えがあったことも、助けになりました。

家族が一緒に乗り越えることができればこれほど有難いことはないと思います。でも、本当に些細なことですれ違ってしまうのが家族の感情というものだと思います。

お若い方とお話していると、「遺言なんて暗いこと、自分が死ぬことを考えることなんて興味ない」という印象をまだまだ受けるのですが、

業界の人間からしたら遺言って「あなたのことを考えていますよというラブレターのちょっと堅苦しい版」みたいなものなので、

遺言したいって言ってくださる人にお会いすると、なんて心温かい人なのかしら!と惚れ惚れしてしまうのでした。

写真は先日皇居ランした時の風景。美しかった!











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