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塾選びは「ゆずれないもの」を決める

教育業界出身がゆえに、塾選びに翻弄された保護者の体験談です。

私なりの結論が出たので、ここに記します。

塾が嫌いになっちゃった

6年生の太郎(息子/仮名)は、去年の8月から個人塾に楽しそうに通っているのですが、この塾に出会うまでは「塾は行きたくない」と言っていました。

前の塾で不信感を持ってしまったからです。

地域最大の大手塾。
大手では「あるある」なのですが、5年生の進級時、教科の先生が変わってしまたんです。しかも全教科、総とっかえ・・・
残念なことに新しい先生たちの授業は面白く感じられなかったようです。
さらに、新しい生徒たちが騒ぎ、それを怒鳴る声が聴覚過敏の太郎には苦痛となってしまいました。


太郎は塾を辞め、自宅で受験勉強をしたいと言い出しました。
その後、体調を崩し、受験勉強どころではなくなります↓

ようやく体調も戻ってきた、6年生の夏。

さあ、勉強はどうするか?

太郎は勉強がわりと好きで、学びたい意欲は変わっていませんでした。

解けなかった問題がわかった瞬間の高揚感や、知識が積み重なって繋がった時の興奮がたまらないそうです。
難しすぎない問題を淡々とやることで落ち着くとも言います。

これからどうするか太郎と話し合ったところ、太郎は変わらず私の指導を希望しました。

ノー!NO!!絶対に嫌!!!

親子指導には、私のスキルも忍耐強さも足りません。

シングルタスクの子どもとマルチタスクの親が一番トラブルになりやすいと石田勝紀先生の本を読んで大きく頷きましたが、まさにその通りの状態だったと思ってます。

私の愛読書↓「まほうノート」の元になった本です。

探したポイントは「国語」

2年近く前からずっと気になっていたけれど、距離の関係で候補から外していた塾がありました。
『国語力を重視して全教科を指導する』というコンセプトの塾でした。

太郎の受験勉強に付き合ってみて感じたことは、圧倒的な「国語力不足」でした。

文法力・語彙力・速読力・読解力。
国語力を高めていかないと、これから先、他の教科もつまらなくなっていくだろうと感じました。よく言うところの「問題の意味がわからない」ってやつです。

「国語はセンスです」この言葉を言う先生を私は信用しません。
実際、問い合わせたいくつかの塾で言われました。
「じゃあ、塾の意味って何でしょう?」と聞きたくなりましたが、入塾するつもりもないので心でつぶやくのみです。


親子で塾に訪れてみた

カフェのような自習室と大きな水槽がど真ん中にある特徴的な塾。

壁は一面、黒板になっていて、生徒たちのそれぞれの熱い目標が書き込まれています。

水槽のコポコポした音が心地よい。

太郎は、温泉やお風呂が大好きで「水」を好むのです。

ココだ!そう感じました。

その後、息子の体調面も含め、個人指導にするか集団指導にするか、一緒に考えながら、1ヶ月近くも体験授業を受けさせてもらいました。

そう、1ヶ月も・・・

「あの、入塾する気満々なんですが、いつまで体験で良いのでしょうか?」

「あー、いつでもいいんですよ。1回や2回じゃわからないでしょう?モノじゃないんでね。太郎くん、今の集団のメンツと気が合いそうなんだよなぁ。でも、個別も楽しそうなんだよねぇ。」
そう言って、首をひねって斜め上を見上げました。

私は、太郎のベストな方法を模索してくれていると感じました。
塾の都合ではなく、太郎にとっての最良の道を。

結局、とんでもないイレギュラーの形で集団指導のクラスに入りました。

週3回4教科8コマの授業のコースなのに、週2回5コマ。
え?そんなのあり?しかも、受験対応コースしかないのでそこに途中参加。でも、塾長は言います。
「あー、だいじょうぶ、だいじょうぶ。問題ないでーす。」


お手柄ドロボーをしない

この前、太郎が作文の中である書き間違いをしていました。

科学的に『証明』されたを『照明』されたと書いていたんです。

それを見た塾長は「たろちゃん、たろちゃん。」と声をかけ、その部分にライトをピカーッと当て続けました。

「あーっ!」と気づいた太郎を見て、ニヤリと笑っていたそうです。

スキ・・・もうそれしか出てこない。

【スキポイント集】

『名刺の表に「ありがとう」と印刷している』
→スピ好きにはたまらない。

『休憩室にスラムダンクを置き、読破するまで退塾してはならない』
→ジャンプ好きにはたまらない。

『10周年だからと言っていきなり月謝を半額にした』
→しかもメールでお知らせ。面白過ぎる。

『YouTube配信をしていてその収入で塾の月謝を下げようと目論んでいる』
→ステキ!

『家庭は子どもが安心する場所です。そのためには親御さんも好きなことをしていてくださ~いと笑う』
→はーい!!

『子どもは大人をよく見ているからね。大人がチャレンジしないとね』
→同感!!

『これぞアクティブラーニング!の授業をそのままYouTubeで配信』
→太郎が頭痛で休む時もすぐ生中継。ありがたい。

『いつも同じテンションでくだらないことを言い続けている』
→そのくだらなさが空気をやわらかくしている。

たくさんのスキポイントがあります。

その中でも私が最もこの塾長に心をひかれているのは「お手柄ドロボーをしない」ことです。

この塾は合格実績を公表しません。
(もちろん聞けばきちんと提示してくださいます。)

結果はその子のものである。

私が魅力的だと思う教育者、塾の共通項は「自走」を目的としていることです。

生徒が快適に走れる環境を整える。
より速く走れるためのコーチとなり、トレーニング方法を教える。
でも、あくまで『やるのは自分』のスタンスを崩さない。
そして、子どもを一人の人間として接する。
けれど、子どもであることも忘れない。


塾の選び方

学校の先生は選べません。私は、どんな先生からも学びはあると思っているので、まずは親が先生を信頼することを信条としています。

けれど、塾や習い事は選ぶことができます。だからみんな悩むのです。

『何を目的とするか』を明確にすることが大切です。

完璧な塾はありません。
太郎の塾長も、入塾前に必ず他の塾も見てきてくださいと言っています。

がっちり管理型を求めるのか、合格実績を重視するのか、アットホームな雰囲気なのか、正解は自分の中にしかありません。

月謝を払うのは親です。
その月謝に見合ってないと感じた不満は必ず子どもに伝わります。
だからこそ、一番求めるものを明確にし、そこだけはブレないことが大切だと私は思います。


あとがき

『この先生にすべてをお任せしよう』

私はこの先生に出会えたことで太郎の『勉強面』を手放すことができました。私がすることは、体調管理と生活面のサポートです。
成績云々は、自分でそれを受け止めて考えたり悩んだりしながら歩んでいけばいい、そう思っています。

太郎の強みは「抵抗なく勉強を楽しめる」ことです。
もちろん苦手もあります。漢字と理科の半分くらいの分野がとことん苦手だそうです。
その苦手の付き合い方も、得意の伸ばし方も、学ぶことの面白さも、それらを伸び伸びと学べる場所で過ごせるならどんなに素晴らしいことだろうと思います。

本気で探し続けたから出会えた塾でした。

ここは正直に言います。
この塾を引き寄せた自分に心底「グッジョブ」!!!


読んでくださってありがとうございました。


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