春日華子の「性」なる日記 ハナレラレナイ
アキラ君が帰った後。
ホテルの窓から雨の降る街を眺めていた。
何千、何万の人が暮らしている東京。
アキラ君に抱きしめられたぬくもりを思い出すと涙がこぼれる。
わからない。
何の涙かわからない。
でも、わかっている。
今は思ってはいけない。
お金で時間を買い、そしてその時間サービスでくれる包容力。
わかっている。
その日はこの先を覚えていない。
ただ、アキラ君に会いたくて会いたくて再び予約を入れたことだけを覚えている。
わからない。
何が何だかわからない。
でも、わかっている。
わかろうとすることが怖いだけ。
ハナレラレナイ。
アキラ君からハナレラレナイ。
この言葉だけは吐き出すことができる。
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