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小説「ほのお」2・日常の光景

「時間よ~。早く早く。」

陽子はごくごく一般的な家庭を気づくことができ、眉間にしわを寄せて日が昇ると家族を順に起こす生活をしていた。

わんこの散歩はパパ。
その他子どもたちは朝練があったり、なかったり、試験中だったり把握できない日々。
陽子はどちらかと言えば把握しないで成り行き任せな母親だ。

「時間よ~。早く早く。」

なんてのもわんこの太郎が毎朝、
「おい、おいトイレに行きたい。おい、おなかもすいているぜ!」っと全力で訴えてるから陽子が起きる。
陽子以外の家族は ママが起こしてくれる といつものパターン。

夫は毎朝太郎に「あ~っ!朝からなめるじゃない。」とお決まりのコントでお散歩に出かける。
リビングを駆け抜ける太郎は雨だろうが何だろうがお構いなしにダッシュして駆け抜ける。夫はいつかコケるんじゃないかな?と陽子は一人にやけながら5人分のお弁当を仕出し屋のように流れ作業で完成させる。

真ん中の子が成人して初めて告白されたお弁当話は爆笑だった。
私が鮭が好きなので万人好きでしょ!の勢いで5人分のお弁当をがっつりご飯の上に鮭を乗せて鮭弁当にしていた。
なんと。。。真ん中は起きて鮭のにおいがした時点で

「おわった。。。」と。

その日の夕食にかけていたらしい。

陽子は夫がいなくなって子どもたちが小出しにする話がたまらなく好きだ。
どの子も個性的とはいえるが、陽子と夫はけんかをしながら常に子供たちの未来を祈り、可能な限り一緒に走る楽しい日々だった。

太郎のお散歩から帰ると夫は髪の毛にコンプレックスがあるので必ずシャワーを浴びていた。

私はバスルームの扉を開けて
「今日はどなたにお会いになるのかしら。」なんてこれもお決まりのトークをし、可能な限り家族で食卓を囲み家族を送り出し、パートに出かけた。

浩輔と欠かしたことのない日課。

行ってらっしゃいのキスl

お帰りのハグ。

これが陽子の日常。
お年頃の子供たちも幼児教育のたまものなので、やれやれ。と思っていたかどうかはわからないけど。

毎日が当たり前にあると思っていた陽子。
誰もが思って当然の繰り返される家族の日常。
人間模様。

陽子は今住んでいる住まいのベランダから空を眺め缶チューハイを飲むとき、浩輔はどこにいるんだろうと現実に変える。

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